自民党議員が派閥からのキックバック(還流)資金などを原資に所得税優遇を受けていた例が相次いで発覚した。野党だけでなく自民党からも批判があがる。自民党は政治資金規正法の改正で「必要な措置」を講じるよう付則に盛り込んだ。
安倍派に所属した菅家一郎、稲田朋美両氏のほか、岸田派だった平井卓也氏、茂木派だった福岡資麿氏が税優遇を認めた。自身が代表を務める政党支部に寄付をして所得税の一部を控除されていた。
平井氏は2日のフジテレビ番組で「税理士に聞いたら控除が受けられるということだった」と述べ、法令違反にあたらないと強調した。「同じことをしている議員はたくさんいる。ルールをつくるべきだ」と法制化の必要性を訴えた。
菅家氏は5月27日の記者会見で2022年までの5年間で派閥からの還流資金1289万円を個人の名義として自らが支部長を務める政党支部に寄付し、148万円あまりの所得税の控除を受けたと説明した。
租税特別措置法は個人が政党や政治団体に寄付をした場合に所得額や所得税額について控除を受けることができると定める。本来は国民の政治参加を促進するのが目的だ。
政治家は政党支部に寄付した場合に控除を受けられる。適法であるものの、税の控除を受けるためにあえて政党支部を介して「税逃れ」をしていると過去にも批判の対象になってきた。
自民党から苦言を呈す声がある。森山裕総務会長は「政治に携わる者はたとえ違法ではないからといって国民の理解を得られないようなことは慎むべきだ」と訴えた。
ある安倍派議員は「当選してから政党支部へ寄付をして税控除をしてはいけないと聞かされていた」と明かす。党内でも「禁じ手」と認識されていた。
野党も反発する。日本維新の会の音喜多駿政調会長は「仕組みを見直す必要がある。禁止する方向で法案の策定も考えていきたい」と語った。国民民主党の玉木雄一郎代表は「マネーロンダリング(資金洗浄)で、政治的、道義的に問題だ」と指摘した。
自民党は一連の問題を受け5月29日に示した規正法改正の修正案で付則に控除の適用除外を反映した。
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