少子化対策の拡充や財源確保のための「子ども・子育て支援金制度」の創設を盛り込んだ子ども・子育て支援法などの改正案が4日、参院内閣委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決された。5日に参院本会議で可決され、成立する見通し。支援金は公的医療保険制度で代行徴収し、2026年度から段階的に始まる。
改正案は、岸田文雄首相が掲げた「異次元の少子化対策」の具体化のため、24年度からの3年間で集中的に取り組む3・6兆円規模の「加速化プラン」の実現を目指す。経済支援の柱として、児童手当の所得制限を撤廃し、支給対象を現在の中学生までから高校生までに拡大。第3子以降への給付額を2~3倍に増やす。妊娠、出産時の計10万円相当の「出産・子育て応援交付金」の恒久化も盛り込んだ。
乳幼児を育てる家庭への支援も拡充する。生後6カ月~2歳で、保育所や幼稚園などに通っていない「未就園児」を対象に、親の就労状況に関係なく預けられる「こども誰でも通園制度」を創設。さらに、両親がともに14日以上の育児休業を取得した場合、育休給付率を引き上げ、最大28日間、休業前の手取りの実質10割を保障するなど、共働きを推進する。
これらの財源の一部として、未成年を除く全国民や企業を対象とした支援金制度を創設する。徴収総額は、26年度6000億円▽27年度8000億円▽28年度1兆円――。1人当たりの負担額は加入する保険制度や収入によって変わる。満額徴収される28年度には、会社員らが加入する被用者保険で事業者と折半した場合、平均月800円程度となる見込み。政府はサービスと支援金負担の「見える化」を進めるため、25年度から特別会計の「こども金庫」を設置する。
支援金制度を巡り、「事実上の増税だ」などと批判する野党に対し、首相は5月30日の参院内閣委員会で、社会保障制度改革などによる保険料軽減で「国民に新たな負担は求めない」などと強調した。
4日の採決では立憲民主党など野党5会派はいずれも反対した。【塩田彩】
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