美しい自然が見られる場所と言えば、福島県内有数の観光地の１つ北塩原村だが…いま危機感が広がっている。それが…「ゼロ」2024年度、初めて子どもが一人も生まれない可能性があることが村への取材で分かった。
裏磐梯の豊かな自然に恵まれた福島県北塩原村。
年間200万人が訪れる県内有数の観光地だ。しかし、村内の人口は減少し続けている。直近は2391人でピーク時の1955年から4割以上減少。高齢化率は4割を超えた。その中、遠藤和夫村長は、いまこれまでにない危機感を抱いている。
「（最近は）出生数が１桁ということが続いていまして、今年度において現時点で母子健康手帳の発行がないという状況ですから、今年度の出生者が非常に危ぶまれるという状況です」と話す。
北塩原村の過去10年分の出生数の推移。2015年度の23人をピークに減少傾向となっていて、直近の3年間は2022年度の2人など一桁にとどまっている。
さらに、今年度は深刻さが増している。妊婦などから提出された妊娠届を受けて、村は母子健康手帳を交付することになっているが、2024年度は6月4日時点でまだゼロ件。妊娠の期間は一般的に「280日」とされていて、このまま移住などによる転入者もなく、母子健康手帳の交付がない状態が続くと、2024年度は初めて「出生数がゼロ」になる可能性がある。
北塩原村の遠藤村長は「今年度の出生数が大変厳しいということは、これ以上に新たな政策や若者の移住定住に向けて、どう情報を発信し、村を選んでいただけるかということに注視していかなきゃいけない」と話す。村は対策を急いでいる。
「恥ずかしい？恥ずかしいねぇ～」
2023年8月、村で2人目を出産した関口楓さん（30）。
2024年4月から家族4人で暮らしているのは、3月に完成したばかりの村提供の戸建て住宅。子どもの数に応じて、家賃が下がる仕組みになっている。また、出産祝い金など村からの手厚い支援が頼もしいと話す。「出産とか妊娠の手当てとか、子育てしていく中でも手当は他の自治体にに比べて多くありがたいなと思っています」と関口さんは話す。
一方不安に感じることも…「子どもに病気があったりとかに、病院が近くにないのが一番心配ですね。薬も買いに行くのが遠かったりとか、そういうところですかね」という。
2024年度初めて子どもが一人も生まれない「出生数がゼロ」になる可能性がある北塩原村。実はこれまでも子育て支援に力を入れていた。
これまで「18歳までの医療費は全額助成」「村立の小中学校に通う子どもの給食費が本来なら9年間で60万円になるものを無償化」「認可保育所などでは非課税世帯の0～2歳児・3～5歳児の保育料無料」「村立の幼稚園は保育料・預かり保育共に無料」などが行われてきた。
2024年度は新たに「結婚新生活祝い金が最大60万円」「不妊治療費の助成が最大30万円」「妊産婦の医療費を全額助成」「満4歳～15歳まで毎年5万円」などが導入された。
若い世代から選ばれる村づくりが今まで以上に求められている。
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