内閣府が入る中央合同庁舎8号館=東京都千代田区で2021年1月19日、赤間清広撮影

 政府は4日、アニメや漫画といったコンテンツなどを海外に売り込む「クールジャパン戦略」を5年ぶりに改定した。コンテンツ産業の海外展開規模を2033年までに現在の4倍以上の20兆円に引き上げる野心的な目標を掲げた。

 政府は「クールジャパン」の分野として、アニメや漫画、ゲームなどのコンテンツ産業、訪日外国人によるインバウンド消費、農林水産品・食品の輸出などを挙げ、19年にクールジャパン戦略を策定した。

 新戦略は新型コロナウイルス禍を経て、日本のアニメ・漫画人気が一部の層から一般的な若者にも拡大▽すしや天ぷら以外にも日本食人気の裾野が拡大▽リピーターや長期滞在の訪日客増加――などの環境変化があったと分析。「クールジャパンを『リブート』(再起動)すべき時期が到来した」とうたった。

 政府によると、日本発コンテンツの海外展開規模(22年時点)は4・7兆円で、半導体産業の輸出額に迫る規模。政府はコンテンツ産業を「日本の基幹産業」と位置づけ、海外ニーズの調査やプロモーション支援、デジタル化推進、若手クリエーターやアーティストの海外展開などの支援を強化する。関連産業全体では、海外展開規模を23年の19兆円から、33年には50兆円以上へと2・5倍超に拡大させることを目指す。

 ただし、クールジャパン戦略を推進した官民ファンド「クールジャパン機構」は想定した収益が上がらず、累積損失(23年3月時点)が356億円にのぼっている。新戦略はこれまで機構が行った投資について「欧州でのブランディングや需要開拓、中国での日本酒の需要開拓に貢献するなど、全体としての政策的効果は果たしている」と評価した。一方で、累積損失の「解消に向けた進捗(しんちょく)状況を注視していく」との方針を示した。【町野幸】

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