児童手当や育児休業給付の拡充などを柱とした少子化対策関連法案が4日の参院内閣委員会で、自民、公明両党の賛成多数で可決した。安定的な財源として2026年度から公的医療保険と合わせて徴収する「子ども・子育て支援金」について、政府は「実質的な国民負担は生じない」との主張を変えず、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主などの野党は「事実上の増税だ」「説明が不誠実だ」などとして反対した。法案は5日の参院本会議で可決、成立する見通し。(坂田奈央)

◆国民が知りたいのは、自分の負担が実際いくら増えるか

 支援金について、政府は衆院の審議中に年収別徴収額の試算を提示。会社員らが入る被用者保険の場合、28年度は年収400万円の人が月650円、年収600万円の人が月1000円などと説明した。  岸田文雄首相は参院の審議で、個人や企業の収入を合わせた国民所得を分母、社会保障の負担を分子として計算する「社会保障負担率」を持ち出した。支援金を導入しても、賃上げなどで国民所得が増えれば「負担率は上がらない」と説明。「歳出改革によって(負担率の)軽減効果を生じさせ、その範囲内で制度を構築することが基本」として、支援金の創設による国民の新たな負担は「実質ゼロ」との答弁を繰り返した。  4日の参院内閣委では立民の石垣のり子氏が「(個人の負担を)負担率にすり替えている。国民の関心は、自分が支払う負担が実際いくら増えるのかということだ」と指摘した。  法案では、児童手当について
(1)所得制限を撤廃
(2)支給対象を現行の「中学生まで」から高校生年代まで拡大
(3)第3子以降は月3万円に倍増
とし、今年10月の支給分から適用する。両親が共に育児休業を14日以上取った場合は、育児休業給付を最大28日間、手取り収入の実質10割に引き上げる。保育の拡充では、親の就労の有無を問わず子どもを預けられる「こども誰でも通園制度」を開始する。 

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