2018年のレーダー照射問題を巡る再発防止策を実施し、防衛交流を再開することで合意した日韓防衛相会談について、海自トップの酒井良海上幕僚長は4日の記者会見で「地域の安全保障環境の安定化に貢献する基盤を再構築できたことは大きな進展だ」と評価した。一方でレーダー照射問題を巡る事実認定は日韓双方の認識が依然として食い違っており、「懸念や不安を覚えている隊員がいれば、私の責任で防衛省としての判断、海自の方針をしっかりと説明していく」との意向を示した。
1日にシンガポールで開かれた防衛相会談では、海自と韓国海軍の円滑な意思疎通の確保、相互理解の促進が重要との認識で一致。酒井海幕長と韓国海軍の参謀総長が、日韓を含む主要国が14年に採択した海上衝突回避規範(CUES)の順守などを盛り込んだ再発防止策を文書にまとめた。
酒井氏は会見で「隊員の安全確保が一番大きな問題だと考えていた。互いの認識を文書で共有できた」と説明した。また、「(レーダー照射問題を巡る日韓双方の)認識が一致していなくても信頼醸成は可能なのか」と記者から問われると、「非常に難しい質問だが、こだわっていたのでは刻々と変化していく情勢に遅れてしまう」と強調。「防衛交流を重ねることで信頼できるパートナーに育っていく」と述べた。
レーダー照射問題は18年12月20日に発生。日本側は、韓国海軍の駆逐艦が海自のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したと主張。韓国側は照射を否定し、自衛隊機が危険な低空飛行を行ったと主張していた。【松浦吉剛】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。