政治資金規正法の改正を巡り、自民党が提示した3度目の修正案が、衆議院の特別委員会で可決されました。
【岸田文雄首相】「今回の一連の政治資金制度改革の議論の発端はわが党が作ったと。実効性のある再発防止策・改革案を提案しなければならない。」
自民党は先週、政治資金規正法の改正案の2度目の修正を行い、パーティ―券の購入者の公開基準を、公明党の主張を受け入れて「5万円超」にすることや、日本維新の会が掲げる「政策活動費の使い道を10年後に公開する案」を盛り込みました。
一旦は評価した維新でしたが、公開の対象が「支出額50万円超」に限られることが判明し、「抜け道」「自民党にだまされた」と猛反発。
そして「50万円超」という規定が削除された3度目の修正案が提示され、迎えた5日の委員会では…
【岸田文雄首相】「抜け穴にしようなどとは全く考えておりませんでした。しかし、わが党としても議論を真摯に受け止め、案を修正した」と岸田首相が釈明。
【国民民主党 長友慎治議員】「50万円以下は抜け道になり得ないという常識が自民の中にあったと。非常に非常識だなと。感覚がやっぱりズレているのだなと痛感します」
また、この3度目の修正案にも「企業・団体献金の禁止」は盛り込まれなかったことに不満の声も聞かれましたが、岸田首相は…
【岸田文雄首相】「特定の企業からお金が動いたことによって政策がゆがめられたというものではない」
こう述べて、「企業・団体献金の禁止」には否定的な考えを示しました。
修正案は与党と維新の賛成多数で可決され、6日に衆議院本会議を通過し今国会中に成立する見通しとなりました。
審議がずれ込みましたが、どうしてこんなことになったのでしょう?
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「政治資金をどう扱うか、各党の思惑がいろいろあります。ただ、ズレ込んだ背景は実はもう1つあると思います、それは『解散』です。岸田さんが“えいや”と突然いろんなこをやるじゃないですか。だから僕はあえて『ハプニング解散』という表現をしているのだけど、岸田さんがこの先、解散をする可能性がまだどこかにあるのではないか。一方で、解散させたくない人たちが、今回の政治資金規正法の改正案を、日程的にぐちゃぐちゃに触っているということもあると思います」
岸田首相は衆議院の解散については「今は目の前の課題に専念する、それ以外は考えていない」と発言しています。しかし、鈴木さんによると岸田首相の胸の内では「選挙をしないと、自分が首相として続投するのは厳しいのではないか…」とのことで解散もアリという思惑もあるそうなんですが…
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「総理大臣は解散については嘘を言っていいとなっています、だって『じゃあ解散します・しません』と正直に言いますか?秋にも自民党総裁選があるけど、総裁選を戦うのは厳しいわけですよ。『岸田さんじゃ選挙は戦えない』となり、降ろされちゃう可能性もあるので。じゃあ岸田さんがもう1回首相をやるためには、自分の手で解散をして、自民と公明党でなんとか過半数を取ること。そしたら政権は国民から支持されたことになり、総裁選で降ろされなくなります。
だから岸田さんの中では解散というタイミングを、どこか頭の中にはまだ持っているのではないかと。周辺取材すると、そんな反応もあるんですね」
岸田さんは解散をしたい…しかし自民党内ではそう思わない方々が多いようです。「ハプニング解散封じ」の動きその1は麻生副総裁。岸田首相に「解散はするな!代わりに総裁選で支持も…」と。何やら含みのある発言があったんでしょうか?
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「解散はするべきじゃないという人たちが結構いるわけです。だって今選挙をしたら自民党は大変で負けるかもしれません。岸田さんの周辺を取材しましたが、どうも麻生さんも解散を今するべきじゃないと考えています。『次の総裁選で支持をして勝たせるようにするから』というようなことを麻生さんが岸田さんに言っているという話があります。
だけど最近の麻生さんと岸田さんの関係を考えると、あんまりうまくいっていません。例えばこの政治資金規正法問題もそうだけど『公明党の5万円案には乗るな』と麻生さんは言っていたのに、岸田さんは乗ってしまいました。麻生さんが言ってきたものを岸田さんが「はい、分かりました、じゃあ解散しません」と受けるかどうか微妙です」
「ハプニング解散封じ」その2は、茂木幹事長と維新の藤田幹事長の話ということです。「党首討論は危険、採決を遅らせ日程をつぶそう」という話し合いが行われたということですが「党首討論は危険」とはどういう意味でしょうか?
【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「結局茂木さんも解散はあんまりしたくないわけです。この国会は6月の後半に終わるので『最後に党首討論をやろう』という日程になりつつあったんですね。
皆さんは過去の党首討論を覚えていますでしょうか?安部さんと当時首相の野田さんの党首討論が行われた時に、盛り上がって盛り上がって最後に野田さんが『解散します』と言いました、2012年の話です。
もし党首討論をすると岸田さんがアツくなって何を言うか分からないので、党首討論はできる限りやめるように仕向けたい。そうすると、今やっている衆議院の日程を膨らましていけば、参議院の日程が短くなり、結果的に党首討論ができなくなります。そういう狙いがあったのではないかと。これは茂木さんに近い自民党の議員が話していました」
岸田首相は解散のシナリオをどのように描いているんでしょうか。
(関西テレビ「newsランナー」6月5日放送)
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