政府は、持続的な賃上げの実現には、男女の賃金格差の解消が不可欠だとして、作業チームで対応策を検討していて、岸田総理大臣も出席して開かれた5日の会合で、中間とりまとめを行いました。

この中では、国の調査に基づき、男女の賃金格差が比較的大きい業界として、▽金融・保険業、▽食品製造業、▽小売業、▽電機・精密業、▽航空運輸業の5つを挙げています。

要因として、業界での女性の比率が、総合職などの賃金水準が高いポジションで低い一方、非正規雇用では高い実情が指摘されています。

そのうえで、これらの業界に対し、仕事と育児が両立しやすい働き方の実現や人事改革など、賃金格差の解消に向けた具体策を盛り込んだ行動計画を年内に策定し、できるだけ早期に公表するよう求めています。

政府も行動計画の推進を支援することにしていて、こうした方針をことしの「骨太の方針」に反映させるとしています。

岸田総理大臣は「職場環境の変革を進め、関係省庁が一丸となって必要な政策を強力に推進していく」と述べました。

出産後の働き方で可処分所得に1億7000万円ほどの差

内閣府は、女性の出産後の働き方によって各世帯の生涯の可処分所得にどれぐらい差が生じるか、試算を公表しました。

会社を辞めずに、出産後も正社員として働き続ける場合と、会社を辞めて再就職しない場合とでは、1億7000万円ほどの差が生じるとしています。

内閣府による試算は、夫婦と子ども2人の世帯で、母親が29歳で第1子、32歳で第2子を出産した場合をモデルケースに世帯の生涯の可処分所得を示しました。

それによりますと、
▽出産後も会社を辞めずに夫婦ともに正社員として65歳の定年まで働き続けた場合、およそ4億9000万円になるとしています。

一方、
▽女性が出産に伴い、29歳で会社を辞め、再就職しない場合は、夫の所得が中心で、およそ3億2000万円となり、1億7000万円ほどの差が生じるとしています。

このほか、女性が出産後、38歳のときにパートで再就職し、いわゆる「年収の壁」の範囲内の年収100万円で働いた場合はおよそ3億5000万円となり、「壁」を超えた年収150万円で働いた世帯よりも1200万円ほど低くなるとしています。

政府は、試算結果を今後の政策の検討にいかしていく考えです。

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