衆院3補選が実施された経緯

 衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が16日告示される。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件が発覚してから初の国政選挙。3選挙区とも自民系前職が裏金や買収事件に絡み、「政治とカネ」が主要論点になるのは確実だ。逆風下の自民は東京15区と長崎3区で候補者擁立を断念し、残る島根1区での「1勝」に全力を注ぐ。投開票は28日。

 3選挙区とも元々は自民の議席で、自民はうち二つで不戦敗を選択。告示時点で「負け越し」を確定させる異例の展開となる。

 東京15区補選は2023年4月の地元・江東区長選を巡る公職選挙法違反(買収など)で有罪が確定した柿沢未途前副法相(自民を離党)の辞職に伴う。柿沢氏は区長選で元自民衆院議員の木村弥生前区長=公判中=を初当選させるため地元区議らに現金を配布し逮捕、起訴された。

 東京15区では19年12月にも自民出身の秋元司・元衆院議員=上告中=が汚職事件で逮捕された。地元選出の自民系議員が2人続けて立件される「異常事態」となっている。

 長崎3区は、裏金事件で有罪が確定した谷川弥一元衆院議員(自民離党)の辞職に伴い行われる。谷川氏は安倍派のパーティー券収入のノルマ超過分としてキックバック(還流)された約4300万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして政治資金規正法違反(虚偽記載)で略式命令を受けた。

 谷川氏は辞職前、裏金疑惑を巡り質問を重ねた記者に「頭悪いね」と発言したことでも批判を浴びた。

 自民と立憲民主党が候補者を擁立し唯一の「与野党対決」となる島根1区は、細田博之前衆院議長の死去に伴う。細田氏は14年から21年まで安倍派の前身、細田派の会長を務めた。安倍派幹部は衆参の政治倫理審査会などで不記載に関し「歴代会長と事務局長との間で慣行的に扱ってきた」などと証言しており、故人である細田氏も事件の「渦中の人」になっている。

 細田氏を巡っては生前、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点やセクハラ疑惑なども取り沙汰された。【佐藤慶】

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