能登半島地震復旧・復興支援本部の会合で発言する岸田文雄首相(左から2人目)=首相官邸で2024年6月10日午前10時17分、手塚耕一郎撮影

 能登半島地震の国や自治体の初動対応について検証してきた関係省庁によるチームは10日、検証結果をまとめた報告書を公表した。今回の被災地が半島特有の地形で進入経路が限られ、早期の情報把握や支援が困難だったと指摘。今後、高性能ドローンなどの新技術を活用する他、空路や海路による輸送態勢の強化が必要だと提示している。

 首相官邸で開かれた復旧・復興支援本部で示された。岸田文雄首相は、公費解体や仮設住宅の建設を迅速に進めるため、能登半島地震では第5弾となる予備費からの追加支出を月内に決めると明らかにし、「被災地の復旧・復興に全力で取り組むことと、さらなる災害対策の強化を両輪として進める」と述べた。

 公表された報告書では、地震の発生が日没時間に近かったことに加え、被災地の大半は過疎化が進む地域だったこと、土砂崩れなどで道路が寸断されたことなどから、被災状況の把握や支援物資の輸送に遅れが生じたことが課題だと振り返った。

 これらの教訓をもとに、国が今後進めるべき対策を指摘。情報収集や物資の輸送に悪天候や長距離でも飛行が可能な高性能ドローンの活用を図る。空や海から資機材を迅速に輸送できるよう、自衛隊など関係機関による訓練を重ね、車両の小型化も進めるとした。

 さらに、国から被災自治体への支援物資が一部地域で到着に時間がかかったことを踏まえ、都道府県が広域的に物資を備蓄するよう求めた。各自治体の備蓄状況を国が確認して公表することも検討する。

 今回、課題となった生活用水やトイレについては、災害時に十分な量を確保できるよう整備を進める。避難所からホテルなどへの2次避難に関しては、実施すべき状況や対象者について国の考えを整理して自治体に周知し、平時から宿泊施設と連携協定を結ぶなどのマニュアルを整備する。

 また、支援本部では、遅れが指摘されている公費解体の状況についても報告があった。環境省によると、6月6日現在で解体を実施したのは被災地全体で約1500棟で、4月末現在の約300棟から5倍になった。

 政府は今後、有識者らのワーキンググループを設置し、検証結果を基に今後の災害対応についてさらに検討を進める。【木原真希、安部志帆子】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。