日本維新の会の馬場伸幸代表

 日本維新の会の馬場伸幸代表は9日配信のユーチューブ番組で、大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」の住民投票について、「絶対にやらせてほしい」と3回目の実施に意欲を示した。住民投票は大都市地域特別区設置法(大都市法)に基づき、市内の有権者を対象に2015年と20年の2回実施、いずれも反対多数で否決された。馬場氏は投票権の範囲を大阪府内の有権者に拡大すべきだと主張、大都市法の改正にも言及した。

 馬場氏は「選挙ドットコム」の番組に出演。次期衆院選で与党が過半数割れした場合に、維新の連立与党入りの可能性を語る中で、「道半ばの大阪都構想みたいに、結党(当初)から掲げてきた(政策が)できるかで、どの政党と連携するかが見えてくる」と発言。ただ、3度目については「組織としてオーソライズされていないかもしれない」とも述べた。

 馬場氏は「これまでの法律に基づいたやり方をしても、大阪市の皆さんに失礼だ」と断った上で、投票権を府内の有権者に広げる案を挙げた。「法律を改正し、ルールを変えて、チャレンジする意味がある」と持論を展開した。

報道陣の質問に答える日本維新の会の吉村洋文共同代表=大阪市中央区の大阪府庁で、2024年6月10日午後0時16分、村上正撮影

 一方、吉村洋文共同代表(大阪府知事)は10日、報道陣に見解を問われ、「代表の個人的な意見だと思う。まずは10カ月後に迫った万博の成功に注力したい」と慎重な姿勢を示した。吉村氏は選挙権の拡大について「慎重に検討した方がいい。政令市を廃止し、都政を敷くわけで、大阪市民に一番影響がある」と主張。「何らかの民主的なプロセスが必要で、僕が漫然と『3回目の都構想に挑戦です』と言うことはない。信義に反する」と述べた。

 大阪維新の会の横山英幸幹事長(大阪市長)も報道各社の取材に「何か組織的に協議されている状況ではない。現段階では白紙」とした。横山氏は市長として市内24行政区を残しつつ、複数区にグループ分けして意思決定の効率化を目指す「ブロック化」を検討中。維新市議団もプロジェクトチームを立ち上げている。横山氏は「基礎自治行政の充実という観点では(都構想と)一緒だが、別物だ」と強調した。【村上正、井上元宏】

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