◆2016、17年の選挙で自民は苦汁
「小池さんが3選の出馬をするならば、支援する方向で考えていく」。10日、党本部での都連会合後、萩生田光一都連会長が記者団に説明した。「知事サイドのお考えもあると思う」と小池氏への配慮もにじませた。国会・地方議員ら出席した約200人から異論はなかったという。自民党東京都連の総務会終了後、記者団の取材に応じる萩生田光一都連会長
自民と小池氏の関係は紆余曲折(うよきょくせつ)をたどってきた。2016年の都知事選で小池氏は、自身も所属していた都連を「ブラックボックス」と批判。自民、公明両党の推薦候補らを破り初当選した。翌年の都議選でも小池氏が率いる地域政党「都民ファーストの会」が大勝し、自民は議席を大幅に減らした。◆関係修復も党内には温度差
だが、18年11月には、小池氏と気脈を通じる二階俊博元幹事長が取り持つ形で、小池氏が「過去の選挙で言葉が過ぎたこともある」と都連に陳謝。前回20年の知事選で、自民は小池氏を実質支援した。 両者の接近は最近の都内の選挙にも表れている。裏金事件で自民への逆風が強まる中、昨年12月の江東区長選では小池氏が擁立を主導した候補を自民が推薦。今年1月の八王子市長選では自民の推薦候補が苦戦し、小池氏が選挙戦終盤で応援に駆けつけ勝利に貢献した。5月26日の都議補選(目黒区)でも自民公認の新人を小池氏が応援した。 都知事選への対応を巡り、ある都連幹部は「小池氏しか選択肢がない。かといって、積極的に賛成という人もいないのでは」と明かす。これまでの経緯から自民内に温度差がある一方で、知事選と同日の8都議補選や来夏の都議選で小池氏の支援を得たいとの思惑も見え隠れする。◆党派色…「マイナス面しかない」
小池氏に近い都民ファの関係者は10日、自民の支援方針に「党派色を出されると迷惑。蓮舫氏の思うつぼだ」と苦々しく語った。自民党東京都連の総務会の冒頭、あいさつする萩生田光一都連会長(中央奥)
蓮舫氏は5月末の出馬会見で、小池氏が8年間で自民との距離を縮めた点を指摘。「自民の延命に手を貸した」とするなど、自民と小池氏を重ね、知事選での追い風にする戦略を描く。 実際、都内で4月以降にあった目黒区長選、都議補選(目黒区)、港区長選では、自民の推薦・公認候補が相次いで敗北した。都民ファ関係者は「自民が支援しますと言えば言うほど、マイナス面しかない」と危機感を募らせる。 当の小池氏は同日昼、記者団に「各所から大きなエールを送ってもらっている」と明確な言葉を避けつつ「保守の方々から大きなエールももらっている」と、自民への配慮をうかがわせた。 ◇ ◇◆出馬表明42人…掲示板「増設」も?
20日告示の東京都知事選への出馬を表明した人がこれまでに42人となり、立候補者が過去最多となる可能性が高い。選挙ポスターの掲示板は48人の想定で、不足する恐れも出てきた。 前回2020年に過去最多の22人が立候補した。今回は10日までに42人が記者会見などで出馬を表明。他に5陣営が都選管の事前審査を受けるなどし、さらに増える可能性もある。東京都庁前に設置された選挙ポスター掲示板。最大48枚張れる=10日、東京都新宿区で
区市町村選管は都内計1万4230カ所に掲示板の設置を進めている。都選管は候補者増を見据え、一つの掲示板当たりの候補者数を前回の30人から48人に大幅に増やした。それでも枠が足りなくなれば、告示日までに増設しなければならない。 都選管の担当者は取材に「状況を見守っている」と回答。新宿区選管の担当者は「業者と相談しているが、増設には時間がかかる。都選管には早めに見通しを示してほしい」と話した。 政治団体「NHKから国民を守る党」は「多くの人に選挙に関心を持ってもらいたい」として15人を公認予定でさらに増員を検討。4月の衆院東京15区補欠選挙で他候補を妨害したとして逮捕されたつばさの党の黒川敦彦代表らも出馬表明している。(原田遼) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。