衆院3補欠選挙が16日、告示された。自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件後、初の国政選挙。公選法違反事件で有罪が確定した柿沢未途前議員=自民離党=の議員辞職に伴う東京15区は、裏金問題の逆風にあえぐ自民が公認候補や推薦を出すことができず、事実上の「不戦敗」に追い込まれ、新人や元職ら9氏による混戦となる見通しだ。

衆院東京15区の補欠選挙が告示され、街頭演説に集まった人たち=16日、東京・江東区で

 裏金事件を巡る谷川弥一前議員=自民離党=の辞職を受けた長崎3区でも自民は独自候補の擁立を断念。自民の細田博之前衆院議長の死去に伴う島根1区は自民、立憲民主両党による与野党対決の構図となりそうだ。3選挙区は元々自民の議席。自民が島根1区を落として全敗となれば、9月の自民総裁選で再選を目指す岸田文雄首相への大きな打撃となるのは確実だ。いずれも28日に投開票される。

◆東京15区の立候補者は

 東京15区に立候補したのは届け出順に、
・諸派「NHKから国民を守る党」新人の弁護士福永活也氏(43)
・無所属新人でファーストの会副代表の乙武洋匡氏(48)=国民民主、ファーストの会推薦
・参政党新人の看護師吉川里奈氏(36)
・無所属元職の元環境副大臣秋元司氏(52)
・日本維新の会新人の元江崎グリコ社員金沢結衣氏(33)=教育無償化を実現する会推薦
・諸派「つばさの党」新人でIT会社経営の根本良輔氏(29)
・立憲民主党新人で共産、社民党の支援を受ける元江東区議の酒井菜摘氏(37)
・諸派「日本保守党」新人で麗沢大客員教授の飯山陽氏(48)
・無所属新人の元総合格闘家須藤元気氏(46)

◆政権批判票の行方がカギか

 自民は当初候補を公募する予定だったが断念し、小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」を母体とする「ファーストの会」擁立の乙武氏に相乗り推薦する方針をいったんは示した。しかし乙武氏が申請をしない上に地元の反発も強く、推薦を見送った。公明も、乙武氏の過去の女性問題を巡る懸念などから態度を明確にしていない。  これに対し、立民は昨年末の江東区長選で次点だった酒井氏を擁立し、共産、社民の支援を得て野党共闘で臨む。ただ、維新新人の金沢氏や元立民所属前参院議員の須藤氏、参政新人の吉川氏らも名乗りを上げており、裏金問題などを巡る岸田政権への批判票の行き先がカギとなりそうだ。 

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