【ファサーノ(イタリア南部)=秋山裕之】岸田文雄首相は13日、訪問先のイタリアでウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。復旧・復興を中心に長期支援を表明し、協力内容を明確にする文書に署名した。支援について日本の憲法・法律上の要件と規則に従う趣旨の文言を入れた。
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主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて話し合った。対面の会談はおよそ1年ぶりとなる。ロシアからの侵略が終わった後に新たに武力攻撃があった場合、24時間以内に2国間で協議すると明記した。賠償や責任追及、制裁などの考え方も決めた。
署名した文書は安保・防衛分野について①非殺傷性の装備・物資の提供②北大西洋条約機構(NATO)の信託基金への貢献③負傷したウクライナ兵の治療――などを盛り込んだ。
日本が得意とする人道や復旧・復興分野の記述に重点を置いた。地雷除去やがれき処理、女性や子どもを含む人道状況の改善・生活再建、経済復興や産業高度化などを列挙した。
サイバーセキュリティーや偽情報対策、組織犯罪への対応にも言及した。ウクライナが経済支援を受ける前提となる司法制度や汚職対策を含む改革に取り組む方針も示した。
日本がウクライナ侵略以降に支援した金額は総額121億ドル(およそ1兆8970億円)に上る。こうした実績も記載した。
2国間の協力文書は2023年7月に公表したG7を含む30カ国以上が参加する「ウクライナ支援に関する共同宣言」に基づく。英国やフランスなど15カ国がすでにウクライナと同様に協力内容を明確にした文書を交わしている。
NATO加盟国以外との協力文書は日本が初となる。
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