イタリア南部プーリア州で開かれているG7サミットは、14日、2日目のセッションが始まりました。
2日目は、移民の問題のほか、中国の海洋進出や北朝鮮のミサイル開発への懸念が出ているインド太平洋、そして経済安全保障などがテーマになっています。
このうち欧米は中国政府の補助金などでEVや太陽光パネルなどの製品が過剰に生産され、不当に安く輸出されているとして懸念を強めていて、G7として中国に対しどのような姿勢を示すかが焦点となります。
また、現地時間の午後には、招待国なども加えた拡大会合が開かれ、AIの活用やその規制のあり方などをめぐって、議論が行われます。
イタリア政府によりますと、拡大会合には、インドのモディ首相やブラジルのルーラ大統領など新興国の首脳のほか、AIへの関心が高いとされるローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇も、教皇として初めてG7サミットに出席する予定だということです。
サミット全体での議論は、2日目で終了することになっていて、現地時間の夜には、首脳宣言が採択される予定です。
「中国の過剰生産問題」とは
G7サミットで焦点の1つになっている「中国の過剰生産問題」。
中国政府の補助金や税の優遇などによって、EV=電気自動車や太陽光パネルなどの製品が国内で過剰に生産され、欧米などに不当に安く輸出されているのではないかと指摘されています。
中国では内需の停滞が続く中、こうした製品の輸出が拡大していて、欧米では、市場の競争をゆがめ、現地の産業や雇用を脅かしているなどとして、懸念が強まっています。
これに対し、中国の習近平国家主席は、5月、ヨーロッパを訪問し、フランスのマクロン大統領とEU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長と会談した際、「中国の過剰生産問題は存在しない」と述べ、問題を否定しています。
しかしアメリカのバイデン政権が5月14日、中国製のEVなどの関税の大幅な引き上げを発表したのに続いて、EUも6月12日、中国製のEVについて暫定的に最大で38.1%の関税を上乗せする方針を発表。
中国政府は、「EUを含む世界のサプライチェーンを乱し、ねじ曲げるものだ」とした上で、対抗措置をとることも示唆していて、対立が深まっています。
ロシア 凍結資産での支援合意に反発 報復措置取ると警告
イタリアで開かれているG7サミットは、ウクライナへの新たな支援策として制裁で凍結したロシアの資産を活用し、およそ500億ドル、日本円にしておよそ7兆8000億円をウクライナへの支援にあてることで合意しました。
こうした措置についてロシア外務省のザハロワ報道官は13日「ロシアから盗んだ資金をウクライナ政府の軍事的冒険に向けることは犯罪的だ」と強く反発した上で「報復措置が必ず取られることになる」と警告しました。
一方、アメリカ政府が12日、新たな制裁でロシア最大のモスクワ証券取引所などを制裁対象に加えたことを受けて、ロシアの中央銀行は証券取引所でのドル建てとユーロ建ての一部の取り引きを停止したことを明らかにしました。
今後は取引所を通さない店頭取引にする一方、声明では「個人や企業の預金口座にあるドルやユーロの資産はすべて安全なままだ」と強調しています。
また、ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」も声明を発表し、制裁による業務への影響はないと平静を呼びかけています。
新たな制裁についてアメリカのメディア、ブルームバーグは13日、ロシア企業にとってはビジネスがしにくくなる一方「ロシアは欧米諸国の通貨からの移行を進めているため、アメリカの制裁による混乱は限定的かもしれない」と指摘しています。
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