世界経済フォーラムが、2024年度版の「世界の男女平等ランキング」を発表しました。日本は146カ国中118位と依然として低い順位のままでした。
また12日、衝撃的な数字も発表されました。「今のペースだと、完全な男女平等の達成には134年かかる」というのです。
調査対象となっている146カ国の改善スピードが遅く、100年後にも男女平等は達成できていないと危機感をあらわにしました。
■日本の順位は順位を上げ、118位
ことしの日本の順位は、118位。G7では最下位で、同じ東アジア圏の中国や韓国より劣っているのが現状です。
去年は過去最低の125位でしたが、今年は女性閣僚の比率が増え、少し順位を上げました。しかし、国会議員の女性の比率や女性管理職の少なさは改善せず、深刻なレベルのまま「停滞」。
さらに指摘されたのが…男女の賃金格差です。
経済協力開発機構(OECD)の2022年のデータによると、日本は男性の賃金を100とすると、女性は78.7しか稼いでいません。この格差はOECD平均の2倍近くです。
なぜこのような差が生まれるのでしょうか。
■専門家の意見は
専門家に聞きました。
【立命館大学経営学部 岸田未来教授】「パート労働は女性が大半。非正規と正規の格差の問題も今ももちろん残っていますし、企業という組織そのものが、ヒエラルキー組織。賃金に格差をつける傾向がある。女性が長期間育児に参加する点で男性と違いがあって、男性と差をつけやすい対象であったので、女性は低い地位に置かれてきた」
■関西企業の男女格差の実態は
実態を知るべく、関西に本社がある大手機械メーカーの正社員Aさんに話を聞きました。Aさんの務める会社は、女性の賃金は男性の60%程度で、歴然とした差があります。
【大手機械メーカー正社員(40代)】「採用の入り口が全然違いますね。基本的にほとんどの方が女性は事務職で採用される。採用条件には、男性のみ営業職とか結構書いたりする。圧倒的にそもそも役職にすごい差があるっていうのはありますよね」
子育て中のAさんはフルタイム。残業はなく、営業職に近い職種で働いていますが、賃金格差につながる場面は日常茶飯事。
例えば、昇格するには上司の推薦が必要ですが、男女で同じような仕事の成果を出していたとしても、女性にはそもそも声がかからないといいます。
■男性社員との年収の差は数百万円にものぼる
【大手機械メーカー正社員Aさん(40代)】「仕事の能力で(昇格を)言われるというよりは、ライフステージみたいな感じ。(男性は)大黒柱として一人前にしてやらなきゃいけないとか、男にしてやらなくてはいけないとか、そんな感じの言われ方を何回か聞いたことがあるので。女性では聞いたことがないじゃないですか。『あなたは結婚するから、そろそろ昇格』って全く女性には聞かない話なので、仕事の能力じゃないんだなっていうふうには何回か思いましたね」
Aさんと全く同じ業務にあたる男性社員との年収の差は現状、数百万円に上るそうです。
【大手機械メーカー正社員Aさん(40代)】「たぶん知らないうちに、私も低く差し引いて評価されている。そういう風にみられているんだろうなということはある」
■大阪の街の人の声は
大阪の街で聞いてみると、女性役職者が増えてきているとはいうものの…
【男性60代・アパレル】「男性のほうが仕事時間は長いけど、いろいろ優遇されている。僕らの年代ではある程度、女性が職場を離れるのはやむを得ない。格差というより区別ではないかと思う」
【女性20代・金融】「遅くまで残れる人が男性だから、上にのぼる男性も早く帰る。男性側に働き方に女性を合わせるんじゃなくて女性側にあわせたらいいんじゃないかな」
■海外の人の声は
一方で、海外はどうなのでしょうか。外国人観光客に聞いてみました。
【フィリピンから来た外国人観光客・フィリピンは25位】「フィリピンはすごくジェンダーは平等なの。フィリピンに比べて日本は先進国であるけれど、政府はもっと問題に集中しないと」
【ベルギーから来た外国人観光客・ベルギーは12位】「もっと改善されるべきでしょうね。私たちもジェンダーギャップはありますよ。格差は嫌だから、私たちも問題を解決しようとしている。日本もずっと闘い続けないといけないし、国が改善するようにずっと前に進まないと、何もしなかったら何も変わりませんよ」
■男女格差の背景には
学歴・社歴・業務内容が同じでも年収に数百万の差がある場合も。背景には説明できない格差もあります。
【関西テレビ・加藤さゆりデスク】「例えば『女性がメインの仕事にはつけないのではないか』『男性のほうが働いてくれそうだ』といった、性別役割分業のような考え方が上司に残っていたり、『ボーイズクラブ』という男性特有の付き合いのなかで、物事が決まっていくことに女性が入っていけず、物事が勝手に進んでいくこともあったりします。それが仕事の差になり、賃金の差になる。それが説明できない格差になっているといわれています」
■「厳しいルールで社会を動かす」
「日本は2022年から賃金格差の開示は義務化されていますが、その格差の説明までは義務化されていません。一方、北欧では、格差の説明まで義務化されており、賃金格差があった場合は、3年以内に調査が必要で、調査をしなかった場合は罰則が付くといったこともあります」
「日本でも、一部の企業では自主的に開示をしているところもあります。厳しくルール化することで説明的な格差を是正する一つのインセンティブになればいいと思います。
これだけ日本の動きが鈍いですから、自主性に任せるのではなく、こういうルール化も考えたらどうかと思います」
女性も男性も平等に評価され、公正な働き方ができる環境の整備が急がれます。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年6月14日放送)
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