「政治とカネ」問題などに端を発した衆院3補選が16日告示され、12日間の選挙戦が始まった。本来は岸田政権への評価が大きな争点になるはずだったが、与野党が対決するのは島根1区のみで、東京15区と長崎3区は自民が「不戦敗」に。自民支持者と野党支持者双方に戸惑いが広がる中、有権者からはクリーンな政治を求める声も相次いだ。
細田博之前衆院議長の死去に伴い実施される衆院島根1区補選。自民党新人と立憲民主党元職による与野党一騎打ちの構図となった。
「今回の選挙は大変厳しいものになる。これまで活動してきた中での肌感覚で強く感じている」
自民党新人の錦織功政氏(55)は松江市の島根県庁前であった出陣式で危機感を示した。地元選出の青木一彦参院議員は「自民党はゼロから出直す覚悟を持って政治改革を進めていく」と強調。錦織氏も「改革の動きをしっかりと支える立場になりたい」と力を込めた。
演説を聞いた松江市の建設業男性(62)は「政治とカネ」を巡る問題を挙げ、「私たちには真実が伝わってこない。はっきりさせないと信頼を取り戻せない」と苦言を呈した。一方、同市の無職、津森邦夫さん(83)は「本人は裏金事件に関係していないのに影響を受けてかわいそうだ。当選したら党をただしてほしい」と求めた。
「この選挙に勝てば岸田政権に大打撃を与えることができる。日本の政治の方向性が変わる」。立憲民主党元職の亀井亜紀子氏(58)はJR松江駅近くの広場で第一声を上げた。
応援に駆けつけた福山哲郎参院議員は3選挙区で唯一、自民が候補を擁立したことに触れ、「裏金問題などを抱える自民党と、野党の一騎打ちがスタートした。新しい時代を皆さんでつくっていただく時期が来た」と呼びかけた。
亀井氏の訴えに耳を傾けていた島根県安来市の主婦、石原佐和子さん(44)は「旧統一教会問題をきっかけに自民に不信感を抱いている。裏金問題も党内の軽い処分だけで済ませた」と憤った。松江市の無職女性(72)は「自民の政策は富裕層向けで、私たち庶民はどんどん貧しくなっていく」と語った。【目野創、松原隼斗、安徳祐、武市智菜実】
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