自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、志帥会(二階派)の政治資金収支報告書にパーティー券収入のノルマ超過分を記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元会計責任者の永井等被告(70)は19日、東京地裁(向井香津子裁判長)で開かれた初公判で起訴内容を認めた。「何が起きるか分からない世界なので、(派閥に)お金を残したかった」と述べた。
起訴状によると、永井被告は2018~22年分の二階派の収支報告書に収入を計約2億6500万円、支出を計約1億1600万円それぞれ少なく記載したとされる。
検察側は冒頭陳述で、二階派では以前から、ノルマ超過分を派閥に納付させた上で議員側に還流したり、議員側から納付を受けないままプールさせたりしていたと指摘した。
1999年7月に会計責任者になった永井被告は、パーティー券の売り上げが多額だと明らかになれば、支援者が買い控えをするようになるかもしれないと考えたと言及。収支報告書の収入欄にはノルマ超過分を記載せず、支出欄にはプール分を記載しなかったとした。
二階派の幹部議員は、永井被告から収支報告書提出前に収入と支出の総額を口頭で聞かされていただけだったことも明らかにした。
永井被告は被告人質問で、派閥の会長や事務総長に虚偽記載を相談したことはなかったとし、派閥に資金を残そうとした理由については、「与野党が逆転(政権交代)した時には10人程度の弱小派閥になり、派閥事務所を維持するのも困難な状況になった」と説明した。
資金は私的に使ったことはなく、選挙中の移動費や宿泊費などに充てたという。永井被告は「国民の皆さまに政治不信を与えてしまった。一生懸命、政務に励んでいる(二階派の)先生方の顔に泥を塗ってしまった。猛省しており、大変申し訳ない」と謝罪した。【山田豊、井口慎太郎】
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