国会議事堂=東京都千代田区で、竹内幹撮影

 外国人技能実習に代わる新制度「育成就労」の新設を盛り込んだ関連法改正案が16日、衆院本会議で審議入りした。技能実習は国際貢献を掲げていたが、育成就労は未熟練の外国人を労働者として正面から受け入れる。岸田文雄首相は「日本が魅力ある働き先として選ばれる国になるように、キャリアアップができる分かりやすい制度に改める」と改正案の意義を訴えた。

 1993年に始まった技能実習は実態として低賃金の外国人労働者の受け入れ口として機能し、人権侵害の温床になっているとの批判があった。

 これに対し、育成就労は「人材の育成と確保」を掲げ、人手不足の分野に外国人労働者を呼び込む。在留期間は原則3年間で、その間に即戦力の人材と位置付けられる在留資格「特定技能1号」(在留期間は通算5年)の水準まで技能を育成する狙いがある。

 同じ仕事の範囲内で職場を変える「転籍」は技能実習だと原則3年はできなかったが、育成就労では労働者としての権利を重視し、1~2年に緩和する。

 外国人労働者が短期間で転籍すると、初期費用を払った最初の受け入れ先が経済的な損失を受ける。質疑でこの点を問われた岸田首相は「(最初の受け入れ先が)正当な補塡(ほてん)を受けられる仕組みを設ける」と説明した。地方から賃金水準の高い都市部へ流出する懸念については、地方の受け入れ環境の整備に取り組むことで対応するとした。

 長期滞在する外国人労働者が増えることを見据え、改正案には永住者が税金や社会保険料を故意に支払わなかった場合に、永住許可の取り消しを可能とする規定も加わった。小泉龍司法相は「一部の悪質な場合に取り消す。大多数の永住者の生活を脅かすものではない」と理解を求めた。【三上健太郎、奥山はるな】

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