奈良県大和郡山市議会は26日、議会改革や議場改造を求める請願2件を賛成多数で採択した。市民の要望に応えて改革に取り組む意思を議会として示した形で、今後、取り組みを具体的にどう進めていくか注目される。
2年前に完成した市新庁舎の議会本会議場にマイクがあるのは議長席と演壇だけ。挙手による採決となるため傍聴者に分かりにくい。一つ目の請願は、自席マイク設置による質疑の効率化、議員の賛否を明示する賛否ボタン導入などを議会改革特別委員会を設けて検討するよう要求。議会広報の充実なども求めた。二つ目の請願は車椅子の人が発言しやすい議場整備を早急に進めるよう要求した。
西川貴雄議長を除く市議19人で採決され、一つ目の請願が賛成12、反対7。二つ目の請願が賛成10、反対9。二つとも反対したのは「政友会」の3人、「大和郡山志政クラブ」の3人(議長除く)、無会派の金銅成悟氏で、二つ目の請願だけ反対したのは、いずれも無会派の杉本葵氏と遊田直秋氏だった。
採決に先立つ討論では、9人が意見を述べた。自席マイク設置や賛否ボタン導入などに5000万円程度の費用が見積もられていることも踏まえ、反対の議員は「(庁舎が)できて間もない中、多額の血税を投入するべきではない」「演壇で発言するから、重みと責任のある言葉になる」などと主張。賛成した議員は「まずは議員の意識を変えることを重視し、市民に開かれた議会に」「議員報酬削減で財源は捻出できる」などと訴えた。
一つ目の請願の請願者代表(52)は議場で傍聴。採択が決まった後、「そもそも改革は、議会が内発的、自発的に進めるもので、市民からこのような請願が出るのは全国でも例がないのでは。この先こそが問題だ」と話し、チェックを続ける意向を示した。【熊谷仁志】
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