岸田文雄首相は27日夜、自民党の衆院1区選出議員でつくる「1区の会」メンバー十数人と約30分間会食した。「ポスト岸田」の有力候補の一人とされる石破茂元幹事長(鳥取1区)も出席。首相は退席時、真っ先に石破氏と握手し、会場から拍手が起きたという。
発起人の一人である自民の遠藤利明前総務会長(山形1区)が記者団に明らかにした。遠藤氏らによると首相は席上、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を念頭に「党に対する逆風が非常に強い」との認識を示し、「皆さんに苦労をかけているが、1区の議員が全員当選できるようにみんなで力を合わせて頑張っていきたい」と述べた。
出席議員から「選挙はあまり早くしてもらいたくない」といった要望とともに、首相を激励する声も寄せられたという。遠藤氏は会合の様子を説明した後、「石破さんと岸田さんが握手していた。皆さん大変にこやかに拍手していた」と語った。遠藤氏はまた、首相は最近面会した際、衆院解散・総選挙について「慌ててやる必要はない」との認識を示していたと明かした。
石破氏は会合後、記者団に「首相がおられるところで批判的なことを言う自民党ではない。礼節はきちんとわきまえる」と語った。
9月に予定される自民党総裁選に関しては「いろいろな思いを持った方が出て、党のあり方などの議論が侃々諤々(かんかんがくがく)、できるだけオープンな形で、国民に関心を持っていただく中で行われるのは本当に良いことだ」と述べた。
河野太郎デジタル相が総裁選への出馬意欲を自民の麻生太郎副総裁に伝えたことについて、石破氏は「河野氏が麻生氏に何をおっしゃったか私は聞いていないので、それを前提に論評はできない」と述べるにとどめた。
会合には稲田朋美幹事長代理(福井1区)らも出席。全国に47ある1区は都市部で無党派層が多く、自民は次期衆院選で厳しい情勢が予想されることから、意見交換の目的で集まった。首相も広島1区選出で会合に招かれたという。
首相はその後、東京都内の日本料理店に移動し、自民の森山裕総務会長と会食した。総裁選を見据え、今後の政治日程について意見を交わしたとみられる。【竹内望、園部仁史】
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