トマトの収穫体験をする岸田文雄首相=山梨県北杜市のアグリサイトで2024年6月29日午後3時10分(代表撮影)

 岸田文雄首相は29日、人工知能(AI)などの先進技術を使って農業の生産性向上を図る「スマート農業」の普及に向け、機器を導入する生産者らに対する新たな支援制度を創設する考えを示した。先の通常国会で成立した「スマート農業法」に基づく措置。視察先の山梨県北杜市で記者団に明らかにした。

 首相は「来年度から5年間を農業構造転換集中対策期間として、農政の再構築に取り組みたい」とした上で、燃料使用量の削減など環境との調和に取り組んだ生産者らを念頭に「十分なインセンティブ措置を講ずる新しい交付金の創設を考えていく」とも語った。同県韮崎市の電子部品製造会社の工場を視察した後、スマート農業に取り組む北杜市の企業を訪れた。

 また、首相は9月までに予定される自民党総裁選での党員の支持獲得を見据え、地方行脚を始めた。29日は視察に先立ち、甲府市で党山梨県連幹部らと懇談した。党内では地方組織や若手議員から退陣論も出ているが、首相は記者団に「党、地方から厳しい声が上がっていることは厳粛に受け止めなければならない。丁寧に聞く姿勢を大事にする」と述べるにとどめた。【池田直】

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