政府は17日、新しい資本主義実現会議を首相官邸で開き、国内のコンテンツ産業の活性化戦略の論点案をまとめた。会議に出席した岸田文雄首相は、映画やアニメなどのコンテンツ産業は国の誇るべき財産としたうえで「クリエーター個人の創造性が最大限発揮される環境を整備する必要がある」などと述べ、契約適正化のための実態調査を進める考えを示した。
内閣官房によると、音楽や映像作品、ゲームなど日本のコンテンツ市場は2021年で12・9兆円で、米国の57・3兆円、中国の27・2兆円に次いで世界3位という。ただ、大手制作会社の下請けとなっている若手芸術家や中小の制作会社から、十分に収益が還元されていないとの指摘がある。
会議には映画「万引き家族」で18年にカンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールを受賞した是枝裕和監督らが出席。是枝さんは終了後、「(私の)次の次の世代がどう映画を作っていけるか、環境を良くしていけるのか。業界と官の両方が力を合わせてサポートしていく仕組みが必要という話をした」とし、経済と文化に目配せをした支援の必要性を強調した。
会議では芸術家の働きやすい環境を確保するため、公正取引委員会が音楽制作や放送番組などの商慣行を調査。独占禁止法に抵触するかを示すガイドラインを策定すべきだとの論点案が示された。また放送番組の制作現場で、ハラスメントや長時間労働が行われないようテレビ局に自主的な取り組みを求める案も出た。
さらに議論を進め、6月ごろに改定する新しい資本主義実行計画に盛り込みたい考え。【古川宗】
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