リニア中央新幹線計画は平成28年、当時の安倍晋三首相が財政投融資資金の投入で全線開業を8年前倒しする方針を決めた。岸田文雄政権もリニアを安倍政権の「遺言」(岸田首相周辺)と位置づけ、整備推進に取り組んできた。
首相は令和4年5月には山梨県都留市の実験センターでリニアに試乗し、本腰を入れる姿勢をアピール。同年6月に決定した「新しい資本主義」実行計画で「三大都市圏やその周辺地域をつなぐ高速かつ安定的な交通インフラとして、早期の整備を促進する」と掲げた。同年以降の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも「最速令和19(2037)年」を明記し、開業前倒しを目指す姿勢を明確にしてきた。
静岡県が水資源や環境保全への懸念を理由に着工を認めてこなかったことにも対応してきた。国土交通省の有識者会議は昨年末までに、JR東海に対策を求める報告書を2回にわたり取りまとめ、2月からは対策を継続監視する別の有識者会議が動き出している。
骨太に全面開業の目標年を改めて書き込み、JR東海を後押しすることも重要だが、岸田政権としても全面開業に向けてたゆまぬ努力が必要だ。
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