立憲民主党の泉健太代表は5日の記者会見で、英国で14年ぶりに政権を奪取した最大野党・労働党に立民を重ね、改めて次期衆院選での政権交代に意欲を示した。ただ、全289の小選挙区の約4割は空白のままでスタートラインにすら立てておらず、候補者選定の加速化が急務だ。

◆小選挙区の約4割が空白のまま

 「英国の政権交代はわれわれにとって大きな勇気だ」。泉氏は会見で、英総選挙で大勝した労働党の躍進ぶりをこう歓迎した。ジョンソン元首相がコロナ禍でパーティーを開いた不祥事などが背景にあると分析し、「日本でも国民の怒りは大きい。次期衆院選で政権交代を果たしたい」と意気込んだ。

記者会見する立憲民主党の泉代表=東京・永田町の衆院第2議員会館で(佐藤哲紀撮影)

 立民は、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を追い風に、4月の衆院3補欠選挙で全勝。地方選の戦績も好調で、源流の旧民主党が2009年に果たした政権奪取の再現を狙う。  実際、立民の支持率は底を打って上向いている。共同通信社の世論調査では、裏金事件の国会論戦が本格化した今年3月以降、それまでリードを許していた日本維新の会を逆転。6月に開校した政治塾には約500人の応募があり、6割が政界への意欲を持つとされる。  一方、小選挙区の候補予定者が決まったのは183のみ。前回の2021年衆院選の擁立者数(214)はおろか、2月の党大会で掲げた目標の200にも届いていない。強固な地盤を持つ自民現職や、すでに擁立を決めた他の野党候補の存在が壁となっている。  自民党のアンケートで政治資金収支報告書への不記載が判明した「裏金議員」が出馬を予定する45選挙区のうち、安倍派中枢だった萩生田光一前政調会長(東京24区)らの計13選挙区にも、対抗馬を送り込めていない。立民にとって野党連携も含めた空白区の解消が、政権交代への第一関門となっている。(大野暢子) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。