任期満了に伴う東京都知事選挙が7日投開票され、現職の小池百合子氏(71)が3選を確実にした。子育て世帯への支援拡大や医療体制の充実といった2期8年の実績を掲げ、前参院議員の蓮舫氏(56)、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)らを破った。
小池氏は自民、公明両党、蓮舫氏は立憲民主党や共産党がそれぞれ支援した。
選挙戦の序盤から小池氏が一歩先行し、蓮舫氏や石丸氏が追う展開だった。小池氏は政治資金問題を抱える自民党への逆風などを意識し、選挙運動では政党色を抑えた。支援を受ける政党のほか無党派層も取り込み、リードを守った。
公約に保育料無償化の拡大、無痛分娩への助成といった子育て支援策のほか、認知症専門病院の新設などを掲げ、支持を集めた。日本経済新聞の情勢調査では小池都政を「評価する」と答えた有権者が「評価しない」を上回り、2期8年の実績への評価も安定した戦いにつながった。
自民党は4月の衆院3補欠選挙の全敗に続き、地方選挙での敗北が目立っていた。独自候補ではないものの、自主的に支援した小池氏の勝利を党内では前向きに受け止める声が多い。
連敗は止めた格好だが、都知事選と同日投開票の都議補選では苦戦している選挙区が多い。都知事選の勝利がどこまで党勢回復につながるか不透明感が残る。
蓮舫氏が告示直前まで所属した立民は都知事選での勝利を次期衆院選の弾みにする狙いだったが、思惑通りにならなかった。蓮舫氏は立民、共産両党の支持層には浸透したものの、無党派層への広がりを欠いた。次期衆院選での「野党共闘」に影響する可能性がある。
石丸氏は敗れたものの、主要政党の支援を受けずに支持層を拡大し、小池氏や蓮舫氏と並んで注目された。既成政党への不満や政治不信を抱える有権者の一定の受け皿になったとみられる。元航空幕僚長の田母神俊雄氏(75)は支持層が広がらず伸び悩んだ。
都知事選には過去最多の56人が立候補した。ポスター掲示板の枠が足りなくなったり、候補者と関係のないポスターが多数張られたりと混乱やトラブルが相次いだ。政見放送でも都政とは無関係の主張やパフォーマンスが目立ち、選挙をめぐる現行制度のあり方が問われた。
東京都選挙管理委員会によると7日午後6時時点の投票率は33.07%だった。2020年の前回選挙の同時刻に比べて0.43ポイント低かった。期日前の投票者数は215万1251人で投票率は18.65%だった。
こいけ・ゆりこ 76年(昭51年)カイロ大卒。参院議員、衆院議員、環境相、防衛相を経て16年に東京都知事。兵庫県出身、71歳。
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