東京都知事選の開票速報を厳しい表情で見つめる立憲民主党の辻元清美代表代行(手前から2人目)と長妻昭政調会長(同3人目)=東京都千代田区で2024年7月7日午後8時15分、宮武祐希撮影

 東京都知事選で元立憲民主党参院議員の蓮舫氏の票が伸び悩み、立憲内に衝撃が走った。

 「非常に厳しい結果になった。結果をしっかり分析した上で、次につなげていきたい」。立憲の大串博志選対委員長は7日夜、自民党などが支援した小池百合子氏の3選確実の報を受け、党本部で記者団にそう語った。

 自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を追い風に、4月の衆院3補欠選挙、5月の静岡知事選などで連勝し、政権交代に向けて勢いに乗る立憲は、首都決戦では党内有数の知名度を誇る蓮舫氏を擁立。都知事選で現職に新人が勝った先例はなく、自民、公明両党が支援する現職の小池氏に仮に及ばなかったとしても「肉薄できれば意義のある結果になる」との読みがあった。

 しかし蓮舫氏は終盤にかけて勢いを失い、小池氏との当選争いどころか、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏と2、3位を争う展開に。各種調査でこうした情勢が伝わる度に、立憲関係者は「蓮舫氏の聴衆は本当に多い。信じられない」などと頭を抱えた。

 蓮舫氏の支持が広がらなかった理由について、自民が小池氏に公式な推薦などは出さず「ステルス支援」に徹したことで、裏金への世論の批判を追い風にしきれなかったとの分析がある。裏金という国政を舞台とした問題を都知事選に持ち込もうとしたことへの批判もつきまとった。更に、共産党との連携が裏目に出たのではとの指摘がある。

 立憲は都知事選候補者の選定段階から共産と連携。蓮舫氏が支持層の拡大を目指して「オール東京」を掲げたことを踏まえ、立憲、共産とも蓮舫氏の「推薦」は見送ったが、街頭演説では立憲と共産幹部が並び立ち、蓮舫氏を応援する場面も見られた。こうした振る舞いが無党派層や、岸田政権に批判的な保守層に嫌気された可能性があるという。立憲幹部は「有権者の多くは改革派の保守を求めているということか。無党派層って、基本保守なんだと思う」と語った。

 都知事選大敗を受け、立憲は「政権交代」に向けた戦略見直しを求められる。9月予定の代表選への影響も予想される。【源馬のぞみ、田中裕之、田辺佑介】

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