防衛省=東京都新宿区で、小川昌宏撮影

 「これで幕引きにはならない」――。国の安全保障に関わる「特定秘密」のずさんな取り扱いや手当の不正受給を巡り、防衛省が海上自衛隊員ら218人を処分した問題。与野党からは批判の声が相次いだ。

 公明党の佐藤茂樹国対委員長は12日の党会合で「国民からの信頼を失うもので決して許されるものではない」と批判。「処分で幕引きというわけにはいかない。引き続き状況について聞き、与党としてもしっかりとフォローしていきたい」と述べた。

 出席者からは「国民の信頼を得る再発防止策をしっかりと作ってもらいたい」「防衛省内できちんともう一回、順法意識を高めることが何よりも大事なのではないか」などと厳しい指摘が相次いだ。

 海自では潜水艦の修理契約に絡み、川崎重工業が裏金を捻出し、隊員に金品などを提供していた疑いも浮上し、「特別防衛監察」を実施している。「海自だけではなく、陸上自衛隊や航空自衛隊についても調査すべきだ」などと調査拡大を求める意見も出た。

 立憲民主党の泉健太代表は同日の記者会見で「組織にひずみを与えてしまうような昨今の防衛政策になっていないのかどうかも含めて、自衛隊がちゃんと仕事ができる環境に変えていくことは必要だ」と訴えた。

 日本維新の会の音喜多駿政調会長は記者団に「大変衝撃で甚だ遺憾だ」と述べ、「特定秘密の取り扱いについては人員不足が問題だという声もある。自衛隊の今の態勢が十分なのか検討していく必要がある」と指摘した。

 共産党の山添拓政策委員長は「大軍拡路線を突き進む一方で、これだけの不祥事が起きているのは言語道断だ。到底国民に受け入れられない」と批判。国民民主党の玉木雄一郎代表は「日米同盟をはじめとした関係各国との信頼にも関わる問題なので、徹底的に原因究明と再発防止を図ってもらいたい」と求めた。

 衆院は17日に情報監視審査会を開き、額賀福志郎衆院議長を通じて木原稔防衛相に情報保全体制の改善を勧告する方針だ。【野間口陽、源馬のぞみ、田中裕之】

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