長崎県の大石賢吾知事(42)の後援会が「大石氏から2000万円を借りた」と虚偽の収支報告をしたとされる疑惑で、大石氏は17日、長崎県庁で記者団の取材に応じ「貸し付けとした記載は誤りだった」と明らかにした。大石氏は、この実態のない借入金で後援会から約650万円の返済を受けており、全額返還するという。後援会の政治資金収支報告書も訂正するとし「正確性を欠いた記載が行われ、深くおわびします」と謝罪した。
大石氏は2022年2月投開票の県知事選で初当選した。選挙運動費用収支報告書などによると、大石氏は長崎県医師信用組合から2000万円を借り入れ、選挙運動費用として計上。うち約1800万円が知事選関連で使われていた。
これとは別に、大石氏の資金管理団体「大石けんご後援会」(長崎市)の22年分の政治資金収支報告書には「大石氏から借入金2000万円」との記載があった。だが実際には、後援会の銀行口座に借入金が入金された形跡はなく、虚偽の記入がなされた疑いが毎日新聞の報道で明らかになった。
これに対し大石氏は「選挙運動費用収支報告書と後援会の政治資金収支報告書に2000万円が二重計上されていた」と釈明。自身が後援会に2000万円を貸し付けた事実はなかったと認め、政治資金収支報告書の該当部分を削除し訂正する意向を示した。後援会から借入金の返済名目で受けた計約650万円については「誤った支払いなので直ちに全額返還する」と述べた。
この問題を巡っては、後援会を監査した会社の男性代表が「架空の貸し付けで後援会から返済を受けた」として大石氏らを詐欺や業務上横領の容疑で長崎地検に刑事告発している。大石氏は「法に抵触する行為はしていない」としつつ、二重計上になった経緯などについては「捜査に支障をきたす」として説明を一切しなかった。【志村一也、松本美緒、川島一起】
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