香川県が進めている高松市サンポートエリアのプロムナード化についてです。地元住民からは根強い見直しの声も残る今回の事業、今後、どうなっていくのでしょうか。

「知事に、本当に声が届いているのかどうか。その判断で良いのかどうか。(地元の)皆さんがどう思っているかというと非常に不安なんですね。どうなるかよく分からない」

こう話すのは地元住民の百々路正治郎さん。プロムナード化の対象となっている高松市浜ノ町の住民です。

(百々路正治郎さん)
「ともかく今、不安で不信感を持って、何をやっても無理だろういう諦め感もある」

不安を感じていると話す百々路さん。香川県に対してプロムナード化の見直しを求めています。

高松市サンポートエリアのプロムナード化は県立アリーナなど新しい施設が次々にできるこのエリアの回遊性向上などを目的に県が進めているものです。JR高松駅の北側道路は歩行者天国化し県立アリーナの周辺道路は車線数を減らして歩行者ゾーンを広げる計画で、アリーナがオープンする2025年2月までの整備を目指しています。

(前川裕喜記者)
「道路の上の連絡橋から見ると片側2車線の道路が1車線規制され、本来まっすぐ進めるところが通行止めになり、車がUターンを強いられている」

計画の実現に向けて県は2023年、2回にわたって社会実験を実施。実際に高松駅北側を歩行者天国にしたり県立アリーナ周辺道路の車線を減らしたりして影響を調査しました。県が設置した検討会議のメンバーでまちづくりが専門の香川大学経済学部、西成典久教授も期待感を示しました。

(香川大学経済学部 西成典久教授)
「道路空間が公園化することによってどういう行動が起こるか。サンポート周辺を歩いてみようという回遊行動が生まれたり、滞在する時間が延びたり、そういう光景ができてくると少しずつ浸透していくのではないか」

鳴り物入りで始まるかのように見えたプロムナード化。しかし、百々路さんたち地元の住民には不安が残っていました。道路が塞がることや車線が減ることによる生活への影響は避けられないからです。

県も4回にわたって住民説明会を開き理解を進めてきました。

そんな中、百々路さんたちがアクションを起こします。6月、県に対して署名と見直しを求める要望書を提出したのです。参加者を限定するのでなく広く県民に開かれた説明会を開くことや高齢化が進んでいる地元住民の暮らしを守る合理的配慮のある施策の立案を求めました。

(百々路正治郎さん)
「県の施策がどんどん進んでいって住民が追い付いていない状態。これだけの数字が出ているとか出ていないとか明確にしてくれると、お互い妥協点はあるのでは」

一方の県側も2024年度に入って対応を見直します。当初は全面通行止めにする予定だった高松駅北側道路については平日と土日祝日の深夜、早朝は車が通行できる運用に変更、その後、住民の理解が進めば災害時以外は通行止めにする考えを示したのです。

(香川県 池田豊人知事)
「日常的には高松駅北側道路を通らなくても生活に大きな支障が無いということになれば次の段階にいけるのではないか」

さらに池田知事は6月の県議会の代表質問で、プロムナード化でできた人の流れを拡大したい考えを示しました。

(香川県 池田豊人知事)
「サンポート高松地区と高松中央商店街との連絡、高松市が再整備を進める高松市中央公園などとのつながりという点についても検討していきたい」

池田知事はこのように述べた上で、高松市の中央公園と商店街が交わる番町交差点を現在の地下道だけでなく平面でも横断できるよう横断歩道を設置する考えを示しました。

(香川県 池田豊人知事)
「プロムナード化の取り組みを順次進めて、歩行者中心のまちづくりを具現化したい」

高松市の大西市長も中心市街地のにぎわい創出に期待を込めました。

(高松市 大西秀人市長)
「中央商店街の魅力を大きくして人流を増やしていくこと。それによってサンポート、玉藻公園と中央商店街。中央商店街と中央公園。活力とにぎわいのある中心市街地のウォーカブルなまちづくりを推進したい」

(百々路正治郎さん)
「にぎわいに関しては誰も反対しない。我々も享受するので。ただそれと同時に利便性というか、恒久的に歩行者天国化する必要がどこまであるのかは疑問。やってみなければ分からない部分もある」

さまざまな思いが交錯しながら進むプロムナード化。整備後どのような影響が出るのか、注視する必要があります。8月には着工に向けた工事説明会が開かれ、こちらはメディアに公開の形で行われます。

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