自民党は18日、選択的夫婦別姓制度を議論する「氏制度のあり方に関する検討ワーキングチーム」(WT)の会合を3年ぶりに開いた。党内の意見集約が難しいことから休眠状態になっていたが、6月に経団連が制度の早期実現を求める提言を発表したことを受け、議論を再開した。推進派と慎重派の溝は深いままで、取りまとめに至るかは不透明だ。

◆3年ぶりのワーキングチームは冒頭を除き非公開

 会合は、冒頭以外は非公開で行われた。WTの逢沢一郎座長は、冒頭のあいさつで「それぞれの家族観や理想とする国の姿に基づく意見をお持ちだと思う。熟議に熟議を重ねて一歩ずつ前に進めていきたい」と語った。  出席者によると、会合では15人ほどが発言。推進派が「若い世代の別姓を求める声は大きく、年配の人も子どもの結婚でこの問題に直面している」と早期導入を求めた一方、慎重派は「通称使用の拡充で対応を」「子の利益を考慮すべきだ」などと主張したという。  自民が議論を再開した背景には、制度導入への世論の高まりがある。共同通信社が今年5月に実施した世論調査で、選択的夫婦別姓に賛成との回答は76%に上った。経済界も前向きで、経団連の魚谷雅彦・ダイバーシティ推進委員長は「先送りできない最重要課題だ」と指摘。経済同友会の新浪剛史代表幹事も「価値の多様性を日本として認めることが先進国としての第一歩」と賛意を示す。  だが、自民内では3年前に推進派と慎重派がそれぞれ議員連盟を発足させるなど強い意見対立がある。休眠前のWTも両派の溝を埋められず、論点整理までしかできなかった。

◆「9月の総裁選前にもう一度議論したい」

 この日の会合であいさつした渡海紀三朗政調会長も「一朝一夕に結論が出るとは思っていない」と認めた。今後の進め方や結論を得る時期は決まっておらず、逢沢氏は「できれば9月の総裁選前にもう一度議論したい」と述べるにとどめた。(井上峻輔、坂田奈央) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。