自民党の「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」(会長・麻生太郎副総裁)は19日、党本部で第5回会合を開き、皇族数確保の取り組みとして、政府の有識者会議が2021年末の報告書で打ち出した①女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する②旧宮家出身の男系男子を養子縁組で皇族とする――の両案を決定した。5月の大型連休前後にも衆参正副議長の下、与野党協議が始まる見通しだ。
自民を除く各党は既に見解を示しており、①について全党がおおむね評価している。与野党がまとまり皇室典範が改正されれば、天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(22)らが婚姻後も皇室に残ることができるようになる。
皇室典範は、女性皇族は婚姻により皇室を離れると定めている。陛下より若い次世代の6人の皇族のうち、5人を女性が占める。皇位継承資格を持つ男子は秋篠宮さまの長男悠仁さま(17)だけで、現行制度のままでは皇族数が減る一方だ。対処が喫緊の課題となっている。
ただ、女性皇族の夫と子を皇族とするかどうかは、見解が分かれる。皇族の身分を与えないとする報告書を、自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党が評価する一方、立憲民主党は皇族とする案も併せて検討すべきだと主張している。今後の協議で一致点を見いだせるかが注目される。共産党は女性・女系天皇を容認する立場だ。
②は自民保守派が制度化を求めていた。ただ、皇室に入る意思がある男系男子がいるかどうかについて、政府は「具体的に把握していない」と国会で答弁している。立憲は「対象者の存在が不明なまま、具体的な制度を設計することはできない」との見解をまとめた。
皇位継承問題の前提となる皇族数確保策を巡っては、岸田文雄首相が昨年10月の所信表明演説で「『立法府の総意』が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待する」と各党に議論の加速を求めた。額賀福志郎衆院議長も与野党幹部に意見集約を急ぐよう促しており、各党間協議を5月の大型連休前後に始めたい意向を示している。【遠藤修平、野間口陽】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。