新潟水俣病の未認定患者らが国と原因企業に損害賠償を求めた訴訟の判決で、新潟地裁が原告の一部を水俣病と認めたことについて、伊藤信太郎環境相は19日、閣議後の記者会見で「国の主張が認められない部分もある。国際的な科学的知見に基づかない理由により水俣病と認めている」と主張した。
判決は国への請求は棄却したが、原告47人のうち26人を水俣病と認めた。国が世界保健機関(WHO)の基準値を根拠に、毛髪中のメチル水銀が50PPM(PPMは100万分の1)を超えるレベルで摂取していなければ発症することはないと主張していたのに対し、判決は「現在の知見として、これを下回る摂取量であっても健康被害が生じる場合があり得る」とした。
昨年9月の大阪地裁判決と今年3月の熊本地裁判決に続き、今回の判決も国による認定から漏れた人を水俣病と認めた。一連の判決を踏まえて新たな救済の枠組みを作る考えについて問われると、伊藤氏は「現行の法律に基づいて丁寧に運用することに尽きる。(水俣病被害者救済特別措置法は)議員立法なので、法の不備ということであれば、立法府でご検討いただくのが必要ではないか」と述べた。【山口智】
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