自民党は5日、憲法改正実現本部のワーキングチーム(WT)の会合で、改正項目の一つとして検討している緊急事態条項について「議論の取りまとめ案」を示し、緊急時に国会議員の任期を延長する方向で衆参が一致した。具体的要件は今後の論点として先送りするなど、衆院側と温度差のある参院側に配慮がにじむ内容となった。岸田文雄首相も出席する7日の全体会合で了承を得た上で条文化作業につなげたい考えだ。
緊急事態条項は大規模災害などで選挙の実施が困難な場合、議員任期を延長し、国会の機能を維持する目的がある。ただ、現行憲法には緊急時に参院が「緊急集会」で国会の機能を代行できる規定があるため、参院側には警戒感が強い。
衆院側では任期延長の要件について、選挙の実施が衆院解散や任期満了から「70日を超えて困難な場合」とする案を検討してきた。
一方、WTの取りまとめ案は参院側の反発を踏まえ、「『70日間』は、参院の緊急集会の活動期間を厳格に限定するものではない」と明記。参院の緊急集会は「国会の代行機関」であり、原則として「国会の権能の全てに及ぶ」と言及し、参院側に配慮を示した。
衆院議員が任期満了で不在の場合は、参院の緊急集会で対応できることを憲法に明記する案も示した。
実現本部の古屋圭司本部長は会合後、記者団に「今後は『衆院と参院で自民党ですら、まとまっていないじゃないか』とは絶対言われなくなる。そういう意味での意義は大きい」と強調した。【遠藤修平】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。