岸田文雄首相は15日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた全国戦没者追悼式の式辞で、「歴史の教訓を深く胸に刻み、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきた」と述べ、首相就任以降3年連続で「歴史の教訓」に言及した。ただ、1993年の細川護熙氏を踏襲して2012年の野田佳彦氏まで歴代首相が言及してきた「深い反省」や「哀悼の意」には今年も踏み込まず、昨年とほぼ同じ内容だった。
岸田首相は就任後初めての22年の式辞で、3年ぶりに第二次世界大戦の「歴史の教訓」という表現を復活。安倍政権下で15年に閣議決定した戦後70年談話に盛り込まれた「歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り開いていく」という表現を踏襲し、自身のリベラル色と保守支持層への配慮を両立させてきた。
歴史認識を巡っては、安倍晋三首相(当時)による13年からアジア諸国の戦争犠牲者に対する加害責任に明確に触れず、それ以降の菅義偉首相、岸田首相も言及していない。
今回は昨年に引き続き、海外に残された戦没者の遺骨収集について「国の責務として集中的に実施する」と言及。岸田外交で重ねて訴えてきた「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化」と「人間の尊厳」に触れつつ、「国の未来を切り開いていく」と式辞を締めくくった。【安部志帆子】
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