東京都知事選の告示まで20日で2カ月となった。主要政党がいまだ候補擁立ができない中、小池百合子知事の3選出馬が有力視されている。ただ、選挙期間中の衆院東京15区補欠選挙(28日投開票)では、小池知事が後押しする陣営が支援体制づくりで苦心しており、知事選に向けた足場固めにも懸念が残る。(渡辺真由子、三宅千智)

衆院東京15区補選の新人候補の応援に駆けつけた小池百合子都知事=20日、東京都江東区で

◆候補者の応援に大忙し

 「時代が変わっているのに制度は変わらない。ぜひ国会でがんばってほしい」。20日、15区補選の選挙区の東京都江東区内で、小池知事は声を張り上げた。自ら特別顧問を務める「都民ファーストの会」を母体とする「ファーストの会」推薦の無所属新人候補者の応援に駆けつけた。  公務の合間を縫って応援に回る小池知事。知事周辺は「知事の頭の中は15区でいっぱい。今回は相当力が入っている」と解説する。  元都民ファ都議が出馬し、21日の投開票日に向けて激戦となっている目黒区長選の応援にも余念がない。20日は目黒区でもマイクを握った。

◆国政復帰説は下火に

 小池知事については2月以降、15区補選出馬による国政復帰説が都政関係者の間で取りざたされていた。だが、15区に新人を擁立したことなどから下火になりつつある。  知事本人は3選出馬について「都政をしっかり進めていく」と明言を避ける。ただ、都政関係者の間では「知事はあと1期か2期やる」などと確実視する声が多い。

衆院東京15区補選の立候補予定者の応援演説に駆け付けた小池百合子都知事=13日、東京都江東区で

◆自民党とは「相乗り」ならず

 その小池知事が15区補選で支援する陣営の体制は、盤石とは言えない。小池知事との相乗りを模索して一度は推薦方針を示した自民党は、地元からの反発などで撤回。小池知事に近い公明党も態度を明らかにしていない。  昨年末の江東区長選や今年1月の八王子市長選で支援候補の当選の後押しをした小池知事だが、15区補選の結果次第では「『求心力に陰り』と言われかねない」(別の知事周辺)。  ◇  ◇

◆自民は裏金で逆風、都知事選の構図見えず

 知事選に向けた政党間の対立構図も見えてこない。  1期目は激しく対立していた自民だが、最近は小池知事と接近。自民は政治資金パーティー裏金事件を巡る逆風もあり、都連内では「自民では出せないから(小池知事に)一緒に乗る」(元国会議員)との見方が大勢を占める。  これに対し、立憲民主党と共産党は市民団体と連携して候補者選定を急ぐ。行政、政治経験のある女性ら複数の名前が挙がったものの、候補者決定には至っていない。「都知事選の前哨戦」(立民都連幹部)と位置付ける15区補選で勝利し、勢いを付ける戦略を描く。日本維新の会も候補擁立を模索している。  都知事選ではこのほか、政治団体「NHKから国民を守る党」が新人計13人の擁立を発表し、最終的には30人擁立を目指すとしている。 

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