林芳正氏

 林芳正官房長官(63)が、9月に予定される自民党総裁選に立候補する意向を固めた。岸田派(宏池会)ナンバー2の座長を務めた林氏は官房長官就任以来、「首相を支える」と公言していたが、14日に岸田文雄首相が総裁選不出馬を表明したことを受け、既に立候補の意向を首相などに伝えた。また河野太郎デジタル相(61)は16日、麻生太郎副総裁と東京都内で会談。関係者によると、河野氏は出馬の意向を示して準備状況などを説明し、麻生氏は一定の理解を示したという。

河野太郎氏

 林氏は防衛相、外相などを歴任した政策通。安定感に定評があり、首相の不出馬表明を受けて岸田派内を中心に「ポスト岸田」に推す声が高まっていた。岸田派の閣僚経験者は「宏池会としては、岸田さんの次は林さんだとみんなわかっている。推薦人20人の確保は問題ない。決選投票に残れれば勝てる可能性があるが、党員票が課題だ」と語った。

 林氏は2021年衆院選で、参院から首相が誕生した例がないことを踏まえ、旧山口3区から出馬してくら替えを果たすなど、かねて首相就任への意欲を示してきた。一方、同じ岸田派に所属する上川陽子外相(71)も、周辺議員に協力を呼びかけるなど出馬準備を進めている。

 林氏は山口県下関市出身で東大卒、米ハーバード大院修了。08年に防衛相で初入閣した後、経済財政担当相、農相、文部科学相、外相などを歴任した。23年12月に、前任の松野博一氏が安倍派の政治資金パーティー裏金事件で辞任したことを受け、官房長官に就任した。林氏の総裁選出馬は、野党時代の12年以来2回目となる。

 河野氏は、出馬に向けて麻生派の若手を中心に支援を呼びかけている。16日の麻生氏との会談では、出馬に必要となる推薦人20人の確保にメドが付きつつある状況を説明。引き続き麻生氏との会談を重ね、麻生派としての支援を求める意向だ。

 総裁選では小林鷹之前経済安全保障担当相(49)が19日にも出馬表明するほか、加藤勝信元官房長官(68)が出馬を検討している。石破茂元幹事長(67)、高市早苗経済安保担当相(63)らも立候補に意欲を示している。小泉進次郎元環境相(43)は意向を明らかにしていないが、党内の一部に待望論がある。【鈴木悟、高橋祐貴】

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