自民党は20日、岸田文雄首相の後継を選ぶ党総裁選の日程を「9月12日告示、27日投開票」に決めた。選挙期間は現行規程となった1995年以降で最長の15日間で、政策論争の機会を増やして党のイメージ回復につなげるのが狙い。今回の総裁選では派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、「カネのかからない選挙」が大きな課題に浮上している。だが、党総裁選挙管理委員会は各候補者や陣営に費用のかからない活動を要請しただけで、具体策は示さなかった。

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◆「十二分に配慮を」呼びかけ止まり

 選管委員長を務める逢沢一郎衆院議員は20日の選管後の記者会見で、「党が置かれている状況をしっかり受け止め、いたずらに金をかけることには十二分に配慮してほしい」と述べるにとどめた。  選管の会合では、これまでの総裁選で各候補や陣営が多額の資金を投入してきたため、「カネのかからない選挙」が一つの論点となった。

◆過去には買収行為も?

 党幹部によると、全国に100万人以上いる党員にパンフレットを郵送すると約1億円、電話をかけると数千万円かかるのが相場という。ホテルの一室を借り切って事務所とするケースも多い。過去には多数派工作のための買収的な行為もあったとされる。

20日、自民党の役員会に臨む岸田首相(左)、麻生副総裁(佐藤哲紀撮影)

 これまでも選挙期間中のパンフレットなどの郵送は禁止されていたが、告示前の規制はなく、検討課題になっていた。これについて選管が20日の会合で協議した結果、「自由に政治活動ができる期間に総裁選の規制をかけることは難しい」と判断。告示前の活動にも多額の費用をかけないよう、候補予定者や陣営に努力を求めることとした。  首相は20日の党役員会で、「総裁選のプロセス自体が新生自民党を国民に示すものとなる」と語った。(井上峻輔) 

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