衆院東京15区(江東区)補選は、選挙期間中の唯一の日曜の21日、各候補が大型商業施設前などに繰り出した。臨海部のマンション住民をはじめ子育て世帯が多い中、少子化対策は一つの焦点。有権者からは子育て費用への苦労や上がらない賃金への悩みが漏れ、「希望が持てる施策を」との声が上がった。(井上真典、鈴木里奈、奥野斐)

候補者の街頭演説を聴く人たち

◆候補者も有権者も「子育て支援」を口に

 「子育て支援、医療や保険、福祉、障害などの分野に尽力してきた」  午後1時過ぎ、JR亀戸駅前近くの商業施設前。新人が地方議員時代の実績を強調した。商店街では共に歩いた参院議員が「子どもたちの学びと育ちをしっかりと守らせて」と訴えた。  長女(3)と妻(35)と買い物に来ていたパート、瀬尾悠介さん(39)は「最近は物価高騰で生活費が心配。おむつ代もばかにならないので、無料にするなど子育て支援を求めたい」と話した。  不動産会社員の男性(38)も、子育て支援の充実を求める。4月から小学校に入学した長女と妻の3人暮らしで、子どもの預け先の確保に悩む「小1の壁」に直面。「保育園は午後8時過ぎまで子どもを預けられたが、学童クラブは午後6時まで。預けられる時間の延長など環境を整えてもらえれば」と話し、「2人目の子どももほしいが、お迎えの問題などで厳しい」と打ち明けた。

支持を訴え、演説を聞いていた人たちと握手を交わす候補者

 友人と待ち合わせていた専門商社の独身男性(22)は「東京は物価も高く、お金もかかる。余裕がないと子どもを、という話にはならないのでは」。

◆賃金、労働、教育…安心して子育てできる環境整備を

  午後3時ごろ、ファミリー層が行き交う豊洲のホームセンター前では、別の新人陣営が街頭に立った。応援の党幹部は、政府与党が進める「子ども・子育て支援金」制度をやり玉に。児童手当拡充などの財源は、公的医療保険料に上乗せして徴収し、年収600万円で月1000円の上乗せとなる見込み。「最も大事なのは高すぎる社会保険料を下げることだ」と強調した。  会場近くにいた男性会社員(35)は同居中のパートナーと将来子どもを持ちたいという。ただ、「子どもにはいろいろな経験をさせてあげたいが、今の賃金でかなえてあげられるだろうか」と不安をこぼす。  会社員井上智子さん(31)は夏に第3子を出産予定。「共働きで、フルタイム勤務は厳しい。出産で時短勤務になり、同期と差がついてしまった」と話し、「国にはキャリアを諦めなくても良い働き方を、企業にもっと働きかけてほしい」と願った。  保育園児と小学生の2人を育てる女性会社員(41)の住む地域では、塾や習い事に月5万円ほどかかる家庭が多いという。「給料は上がらず、教育費はどんどんかかる。将来展望が暗いのが少子化の一番の原因だと思う。次世代が希望を持てる施策を」と求めた。 

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