この夏、NATO（北大西洋条約機構）諸国から日本に軍用機や軍艦が相次いでやって来ました。
不安要素をはらむ極東情勢への影響について、最新の映像から検証します。
8月22日、海上自衛隊の横須賀基地にイタリア海軍の空母「カブール」が入港しました。
イタリアの空母の日本寄港は初めてのことです。
先端が反り返った甲板には、最新鋭のF-35Bステルス戦闘機の他、ハリアーII攻撃機が並べられています。
フジテレビ・能勢伸之特別解説委員：
空母は本来、海の上の航空基地という役割を担いますが、「カブール」の能力はそれだけではありません。というのは、一緒に横須賀に入港したフリゲート艦「アルピーノ」の主砲と同じ大砲を前後に1門ずつ備えています。敵を威嚇し、交戦する大砲が装備されている空母は、世界でも「カブール」だけでしょう。また、車両を出入りさせる大きなドアがあり、艦内に戦車を20両以上搭載できるスペースがあるとされていて、「カブール」単独でも戦闘能力を持ち合わせているかのようです。
この「カブール」は、6月末に中国が海洋進出を強める南シナ海で、アメリカ海軍と共同演習を実施。
日本寄港前には、空母「エイブラハム・リンカーン」の艦隊とも演習をしました。
そして来週には横須賀を出港し、海上自衛隊と共同で対潜水艦訓練を予定しています。
さらに7月、スペイン・ドイツ・フランスの軍用機が日本に展開したのに続き、8月はドイツのフリゲート、イタリアの戦闘機や、異形の空中早期警戒機（G550CAEW）など、ヨーロッパ諸国の軍隊が日本に続々と集結しました。
その意味とは…。
フジテレビ・能勢伸之特別解説委員：
NATO、ヨーロッパ諸国は中国を念頭に置きながらアジアの安定を重視している。これは日本にとっては、日本に対する万が一の攻撃は日本に展開する軍隊への攻撃にもなり得るため、いわば“見せる抑止”だったといえそうです。
一方、日本の同盟国でもあるアメリカも気になる動きを見せました。
8月15日、沖縄県のアメリカ軍ホワイトビーチでカメラが捉えたのは、迷彩を施された奇妙な形の船の姿です。
フジテレビ・能勢伸之特別解説委員：
これは断言はできませんが、アメリカ海軍の特殊ステルス艇「シーライオンII」または「III」とみられ、日本で撮影されるのはこれが初めてです。完全に密閉された半潜水艇で、アメリカ海軍の特殊部隊ネイビー・シールズをひそかに敵地に送り込み、回収するのが任務とみられます。アメリカ軍は、南シナ海情勢や台湾海峡問題などを抱える東アジアに、NATO諸国とともに見せる抑止を行うだけでなく、“見せない力”の展開準備も行おうとしているようです。
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