松江市内で街頭演説を行う岸田文雄首相(右)と、立憲民主党の泉健太代表=いずれも21日(恵守乾撮影)

岸田文雄首相(自民党総裁)が21日、衆院3補欠選挙(28日投開票)で唯一候補者を擁立した島根1区で街頭演説を行った。派閥パーティー収入不記載事件に関し「再発防止のために強い覚悟を持って、今国会で政治資金規正法改正を実現する」と信頼回復に努める姿勢を強調した。立憲民主党の泉健太代表も21日入り、自民の取り組みが遅いと批判。岸田政権の命運を握る選挙区で与野党党首が激突した。

首相、自民の政権能力アピール

首相の島根入りは告示後初めて。松江市内での街頭演説で「自民の『政治とカネ』の問題で大きな政治不信を引き起こしてしまっている。心からおわび申し上げる」と陳謝した。規正法改正の具体案には言及しなかった。自民は党としての方向性を23日にも示す見通しだが、他党はすでに具体案を公表している。

自民は東京15区と長崎3区で不戦敗。島根1区を落とせば3戦全敗で、首相の求心力が一気に衰えかねない。首相は演説で「明日は必ず今日より賃金が高くなる日本の30年ぶりの実現を誰がやるのか。地方を底上げする取り組みを誰が担うのか。これが選挙で問われている」と語り、議席死守に向け、自民の政権担当能力をアピールした。

泉氏「自民の改正案をよく見よう」

島根1区は小選挙区制が導入された平成8年の衆院選以来、自民が勝利を重ねてきた。立民は今回、島根1区を「天王山」と位置付け、初の議席奪取を目指す。

泉氏は松江市での街頭演説で「大きな政治改革の戦いだ。首相が来ようと、県民の力で皆さん勝ちましょう」と呼びかけた。不記載事件に関し「自民は処分も真相解明も政治改革も遅れていた。選挙が始まり、批判の声が高まり、急に週明けに(自民の)案を出すそうだ」と皮肉った。

さらに「どんな案が出てくるのかよく見ておこうではないか。自民の政治家がホッとする案なら全然改革案ではない」と述べ、企業・団体献金の規制や政策活動費の使途公開に慎重な自民を牽制(けんせい)した。

島根1区では、自民が元中国財務局長の新人、錦織功政氏を擁立。立民は元職の亀井亜紀子氏を立て、与野党一騎打ちの構図になっている。(田中一世)

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