河野太郎デジタル相(61)=自民党麻生派、衆院神奈川15区=は26日、国会内で記者会見し、党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への立候補を正式に表明した。総裁選への挑戦は前回2021年に続く3回目。政治資金パーティー裏金事件で傷ついた党の信頼回復に向け、「(政治資金収支報告書で)不記載になってしまった金額を返還することでけじめとする」との考えを表明。持論の「脱原発」を事実上棚上げする方針も改めて示した。
河野氏は裏金事件について「書類を直したら終わりというのは、国民の理解を得るのは難しい」と指摘。不記載のあった議員らが「けじめ」として不記載額を返納すれば、次期衆院選で公認可能だとの認識を示した。どこに返還するのかといった具体策は「党の方で考えることになるだろう」とした。その後、BS番組に出席し「最終的には国庫返納になる」との見方を示した。
「脱原発」は棚上げ
会見では人工知能(AI)などの普及で電力需要が今後急増していくとの見通しを示し「(原発を)再稼働しても足りなくなってくる」と指摘。「電力の供給を最大限にするため、あらゆる技術にはっておかなければいけない」とし、「リプレース(原発建て替え)も選択肢としてはある」と語った。
河野氏は11年の東京電力福島第1原発事故以前から原発反対を唱えてきたが、前回21年総裁選で原発再稼働を容認。今回は更にリプレースの事実上容認にまでカジを切った。
憲法改正について「なるべく早く発議にもっていきたい」と言及。選択的夫婦別姓については「認めた方がいい」と賛成した。
会見では自身の「実績」を強調。外相時代に各国の外相らと950回の会合・会談を行ったとし「総裁選では、これからの『世界の形』がどうあるか議論しなければならない」と訴えた。ライドシェアなどの改革実績にも触れ、「ただ口で改革と言うのではなく、改革を積み上げてきた実績が問われていく総裁選だ」と語った。
河野氏は米ジョージタウン大卒、1996年衆院選で初当選し当選9回。第2次安倍政権時代の15年に国家公安委員長兼行政改革担当相として初入閣し、その後外相、防衛相などを歴任した。祖父は故・一郎元農相、父は洋平元衆院議長。
総裁選への出馬表明は、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)、石破茂元幹事長(67)に続き3人目。【高橋祐貴、池田直、遠藤修平】
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