日本列島を縦断するおそれがある非常に強い台風10号が、9月にある自民党総裁選や立憲民主党の代表選にも影響を与えている。立候補を予定する自民の現職閣僚は台風への備えを優先しなければならないうえ、災害発生時に出馬表明すれば不謹慎との批判を受けるリスクがあるからだ。このため、週内にも予定していた出馬表明を当初より遅らせる陣営も出ている。
22日にミクロネシア北西部のマリアナ諸島で発生した台風10号は当初、今週前半にも日本に接近し、上陸すると見られていた。しかし、台風は予想以上にゆっくりと日本列島に接近。進路も大幅に変えるなど、動きがつかみにくくなっている。
首相官邸で危機管理を担当する林芳正官房長官は週明けの26日、総裁選に向けて自らを支援してくれる国会議員と協議後、記者団に「大きな台風が日本に向かってきている。本務でもあるので、状況をしっかり見極めながらスケジュールを判断していきたい」と述べ、災害対応を優先させる考えを強調。9月12日の総裁選告示を見据え、当初は27日の実施を検討していた出馬表明を遅らせる考えを示した。9月3日に表明する方向で最終調整している。
小泉進次郎元環境相は当初は30日に記者会見を開いて、出馬を表明する予定だった。だが台風10号の影響を考慮し、9月6日にずらす対応をとった。
高市早苗経済安全保障担当相も週内に検討していた出馬表明を延期。9日にも表明する方向で調整している。同氏を支援する議員は「台風が去った後に表明した方がいいという意見が陣営内で強かった」と明かした。
別の候補を支援する閣僚経験者も「台風で自衛隊が災害出動するようなタイミングで出馬会見なんてできない」。このため、党総裁選は来週以降、候補者が相次いで出馬を表明する展開となりそうだ。
自民総裁選への出馬を検討している閣僚経験者は「台風の影響でなかなか人を集めることが難しくなっている。日程の一部がキャンセルになった」とも語った。
自民総裁選では19日の小林鷹之前経済安保担当相の記者会見を皮切りに、24日に石破茂元幹事長、26日の河野太郎デジタル相の3人が出馬表明している。表明済みの陣営関係者は「早いうちに言っておいてよかった」と胸をなでおろした。
9月7日に告示される立憲代表選をめぐっても21日に出馬表明した枝野幸男前代表が、台風10号の影響に配慮し、30、31の両日に宮崎県で予定していた視察や支援者との対話集会などを見送った。【鈴木悟、森口沙織、中村紬葵】
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