長崎幸太郎・山梨県知事と長崎氏が代表を務める資金管理団体の元会計責任者が政治資金規正法違反の疑いで刑事告発されていた問題で、東京地検特捜部は29日、2人を不起訴処分(嫌疑不十分)とした。長崎氏は同日夜、甲府市内で記者会見を開き、「多くの方に疑念を抱かせてしまったのは不徳のいたす限り」などと述べた。

 この問題は、2019年8月に長崎氏の資金管理団体が自民党二階派(志帥会)からパーティー券売り上げのノルマ超過分として現金1182万円を受領しながら、政治資金収支報告書に記載していなかったというもの。長崎氏が1月に記者会見を開いて明らかにした。

 これに対して県民4人が、政治資金規正法違反の疑いがあるとして甲府地検に告発状を出し、その後、東京地検特捜部が捜査していた。

 長崎氏は29日の会見で「捜査中でこれまで明らかにできなかった」とした上で、自身が二階派の事務所で現金1182万円の入った紙袋を受け取ったと初めて明かした。

 受け取った現金は紙袋から取り出して、「預かり金」として事務所の金庫でほかの現金と一緒に保管していたという。金庫内の現金の残高は1182万円を下回ったことはないとし、「(ほかの現金とは)分別管理されていた」と主張した。

 また、長崎氏は「志帥会にしっかり照会するべきなのに怠っていた」と改めて陳謝した。ただ、趣旨があいまいな現金を受け取った点については「(受け取った後の)事務手続きに問題があった」とし、自身の責任について言及を避けた。

 長崎氏は1月の会見で政治資金収支報告書を訂正したと説明した上で「過去の処理と管理態様が極めてずさんだった」と謝罪していた。1182万円の現金については「『処理方針が未確定の預かり金』として金庫に保管し、収支報告書にどう反映させるか(志帥会からの)指示を待ったまま失念した」と話していた。

 告発状を提出していた税理士の山本大志さんは今回の不起訴処分について、取材に対し「納得がいかない。検察審査会に審査を申し立てたい」としている。(米沢信義、三宅範和)

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