東京地検特捜部により元職を含む国会議員が起訴されたのは2020年以降、広瀬めぐみ元参院議員で14人目だ。このうち公明党の遠山清彦元衆院議員(貸金業法違反で在宅起訴)を除く13人が自民党出身者で、「政治とカネ」を巡る不祥事が後を絶たない。
カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡る汚職事件で、東京地検特捜部は19年12月に秋元司衆院議員(当時)を収賄容疑で逮捕し、翌月起訴した。現職の国会議員逮捕は約10年ぶりだったが、以後は立て続けに国会議員経験者が立件されることになる。
19年の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件で、20年7月、河井克行衆院議員、妻の案里参院議員(いずれも当時)が公職選挙法違反で起訴された。
21年1月には、農相在任中に鶏卵生産会社から賄賂を受領したとして、吉川貴盛元衆院議員が収賄罪で在宅起訴。大臣経験者としては、元経済産業相の菅原一秀元衆院議員も祝儀や香典を配ったとして21年6月に公選法違反で略式起訴されている。
22年12月には、収支報告書への不記載を巡り、薗浦健太郎元衆院議員が政治資金規正法違反で略式起訴され、秋本真利衆院議員は23年9月、洋上風力汚職で受託収賄罪に問われた。
24年に入っても自民の不祥事が次々と発覚し、1月に東京都江東区長選を巡る買収事件で柿沢未途衆院議員(当時)が公選法違反で起訴。自民派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件では、清和政策研究会(安倍派)の谷川弥一衆院議員(当時)▽大野泰正参院議員▽池田佳隆衆院議員――が政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴(在宅や略式含む)されている。
8月29日には、堀井学元衆院議員が政治資金規正法違反と公選法違反で略式起訴されたばかりだ。元自民職員で政治アナリストの伊藤惇夫さんは「長期間政権の座にいることで、自民所属議員たちも『この程度のことなら大丈夫』というおごりが生まれ、違法な金銭のやり取りへの抵抗感の薄れを招いているのではないか」と指摘する。
その上で、「政治とカネに対する有権者の目は厳しくなっている。自民はこれまで、離党すれば追加の処分はせず、再発防止に向けた対応も不十分だった。今後について党全体で議論を進めていくべきだ」と話した。【安元久美子、北村秀徳、岩本桜、山田豊】
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