岸田文雄首相は22日の衆院予算委員会で、国会議員に月額100万円支給される「調査研究広報滞在費」(旧・文書通信交通滞在費)を巡り、使途の公開や制限の在り方について各党と議論するよう自民党に指示したことを明らかにした。
旧文通費は、自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革の論点の一つ。使途を公開する必要がないため、飲食費などへの流用が問題視されてきた。日本維新の会が抜本改革を「絶対獲得目標」(馬場伸幸代表)に位置づけており、首相は今後の政治改革を巡る与野党協議で維新の協力を得る狙いがあるとみられる。
維新の藤田文武幹事長は予算委で「旧文通費の使途公開ぐらいはやると言ってほしい」と要求。首相は「支出可能経費の確定と、支出の公開の在り方について、議論の再開を指示している。この二つの課題についても結論を出したい」と語った。
一方、首相は政党から政治家個人に支出される「政策活動費」の使途公開に関しては、各政党に協力した個人のプライバシーや、政党の戦略が、他の政治勢力に明らかになることなどに「配慮しなければいけない」と主張。「こうしたものを踏まえ、各党共通のルールとして議論する」と述べるにとどめた。政策活動費の透明化に向けて「自民党も今後どうあるべきなのか判断する」とも語ったが、具体的な方向性は示さなかった。
立憲民主党の岡田克也幹事長は「自民党以外は『政策活動費をやめる』『(使途の)中身を明らかにする』と歩調を合わせている。何も具体案を出さないで本当にいいのか」と批判。維新の藤田氏は「政策活動費が変な使い方をされない話と、旧文通費の使途公開はセットだと思っている」と指摘した。
また首相は政治資金規正法改正に向けた自民案のポイントとして「議員本人の責任強化」「外部監査の導入」「デジタル化による資金透明化」を挙げ、「この3点は最低限行わなければならない」と説明。取りまとめ時期は「今週を予定している」と語った。【田中裕之、安部志帆子】
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