自民党の林芳正官房長官(63)は3日、国会内で記者会見を開き、党総裁選(12日告示、27日投開票)に立候補する意向を表明した。会見での主なやりとりは以下の通り。(近藤統義、長崎高大、佐藤裕介)

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◆政治とカネへの対応は「法の支配が大事」

―政治とカネをめぐる問題への対応について。他の立候補予定者からは、(裏金の)返金や(選挙での)非公認に言及もあったが、自身の考えは。

「法の支配が非常に大事だ。総裁が変わったから今までしっかりと手続きを取って決めたことを何も手続きを取らずに変える、ということは、あってはならないと思っている。(国会の)政治倫理審査会(での審査)、そして党の党紀委員会で第三者も入って調査もやってきた。また新たな事実が、報道を通じて出てくることも考えられる。そうしたものが出てくれば、もう一度手続きにのっとってしっかりと結果を出していく、 このことが必要だと思う」 ―官房長官として現政権の中枢にいるが、そのような立場で「新生自民党」を示すことができるか。身を引くべきではないかという声も党内にはあるが、どう考えるか。

「これまでの経験や実績を、(立候補を)見送ることでそのままにしていいのかと、そういう強い思いにかられて、仲間の皆さんとも相談した結果、出馬を決断した次第だ」

◆「原子力は大変大事なベースロード電源」

―データセンターなどで、今後の電力需要が増えていくことが予想される中、どのように脱炭素電源を進めていくか。原子炉の新増設やリプレース、核燃料サイクルの考え方と合わせて伺う。 「脱炭素電源として、原子力というのは大変大事なベースロード電源だ。これを推進していく。ただし、その時には、新(規制)基準によって安全性を確保する。住民の安心を確保する。これは大前提であると申し上げておきたい」

◆「媚中派」批判に「私は『知中派』」

―日中友好議員連盟の会長を務めていた経歴から、しばしば親中派と批判されるが、中国との向き合い方について伺う。 「日中関係は非常に大事な関係であるということは、その通りだと思っている。私に対する『媚中派』とか、いろんなご批判があるということを時々耳にするが、私は『知中派』、中国を知っているということだと思っている。『己を知り、敵を知れば百戦危うからず』と。決して中国と戦争するという意味ではないが、中国と向き合っていくためには、中国のことを知っているということは一つのポイントではないかと思っている」

◆「『刷新感』ではなく刷新そのものが大事だ」

―岸田政権の継承、発展を目指していく立場か、それとも岸田政権との対立軸があるのか。次期衆院選の「顔」を意識して刷新感が重視されているが、どのように党内で支持を拡大していくのか。 「それぞれの政権でやってきたことの積み重ねで、私たちは今この場所に立っている。ここから何を引いて、何を足していくのかということは、しっかりと考えなければならない。岸田政権でやってきたことに足していく」 「私は『刷新感』よりは『刷新』そのものが大事だと思う。刷新をしっかりできるのか。 刷新感はあったけれど何もないうちに消えちゃったね、ということではいけない。刷新をしっかりやっていくために、この経験や実績を十分に使っていきたい」

◆選択的夫婦別姓は「あってもいい」

―選択的夫婦別姓は実現すべきだと考えるか。 「個人的には選択的夫婦別姓というのはあってもいいのかなと思っている。わが家の話で恐縮だが、娘が2人いるので、そういう問題、常に考えてきた。ただ、総裁、総理となってどうしていくのかということを考えた場合、まだいろんな意見がある。賛成か、反対かという調査が多く見受けられるが、もう1つ選択肢を加えて『賛成』『通称使用の拡大をしていく』『反対』、こういうふうにすると、私が見たものでは大体3分の1ずつぐらいになっている」 「意見の集約をしっかりと、総理、総裁になった暁には、していって、『なるほど、こういうところだね』という、国会議員の間もそうだが、国民の各層の間で大まかなコンセンサスを作り上げていくことが責務だと思っている」 ―選挙費用抑制のための具体策は。総裁選でかかった費用を公開する考えはあるか。 「お金のかからない総裁選挙というのは、当然のことであろうと思う。かつてはホテルや国会の外にいろんな場所を確保して、情報交換という意味では大事なことだと思うが、そういうことが行われてきたのも記憶にある。今回、私の陣営は、国会の議員会館のオフィス、もしくは議員宿舎の会議室等を利用しようと考えている。選挙費用の公開は、ルールが決まればそれに従いたい」 ―防衛力強化を巡り、防衛力整備計画で示した装備数量を計画通り調達した場合、「5年で43兆円」の防衛費を大きく上回る可能性も出ている。整備計画を閣議決定し直し、43兆円からさらに増額する考えがあるか。 「概算要求がこの間、締め切られた。ルールに従って予算編成をしていく。その方針に変わりはないと思っている」


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