自民党の茂木敏充幹事長(68)=衆院栃木5区=は4日、東京都内で記者会見し、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を正式に表明した。茂木氏にとって総裁選への挑戦は初めて。出馬表明は5人目で、過去最多の5人が出馬した2008、12年総裁選と並んだ。
茂木氏は会見で「成長戦略による税収アップなどにより新たな財源を確保し、『増税ゼロ』の政策を推進する」と強調。岸田政権が決めた防衛増税や子育て支援金の保険料負担増については、新たな財源確保で対応できるとして「それぞれ1兆円は停止する」と打ち出した。「3年以内に結果が出なければ総理が責任を取る」と述べ、実質賃金のプラスを定着させて「半年以内に必ずデフレ脱却宣言を行う」とも語った。
岸田政権は防衛力強化に向け、防衛費を23年度からの5年間で総額43兆円に増やし、財源が不足する1兆円強については法人、所得、たばこの増税で確保する方針を決めた。また児童手当や育児休業給付の拡充などを実施するため、26年度から「子ども・子育て支援金」を新設し、公的医療保険料に上乗せする形で、国民と企業から計1兆円を徴収する方針も決めている。
茂木氏は党改革について「全く新しい自民党を作っていく覚悟を示す」として、政策活動費の廃止を打ちだした。「党の全ての収入支出の見える化を進める」とも述べ、政治資金パーティーの収益については、事業収入として課税対象とする法改正にも意欲を示した。
党ナンバー2の幹事長として、なぜこの改革を進めなかったかについては「どうにか公開できないかと、いろいろな項目を見て判断に至った」と述べるにとどめた。幹事長としての職務権限は、5日から岸田文雄首相(党総裁)に委譲すると述べた。
茂木派からは加藤勝信元官房長官(68)も出馬の意向を固めており、派内の支持が割れる可能性がある。
茂木氏は東大卒、米ハーバード大大学院修了で丸紅、マッキンゼー社勤務などを経て1993年に初当選。現在10期目で経済産業相や外相などの要職を歴任してきた。21年11月からは幹事長として、麻生太郎副総裁とともに岸田文雄政権を支える「三頭政治」を担ってきた。【加藤明子】
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