「交通空白」解消本部の会合であいさつする斉藤鉄夫国土交通相=東京都千代田区で2024年9月4日、佐久間一輝撮影

 斉藤鉄夫国土交通相は6日の閣議後の記者会見で、自民党総裁選への立候補を同日表明した小泉進次郎元環境相(43)が日本版ライドシェアの現状を「既得権益を守る象徴」と発言したことについて「私たちは既得権益を守るというような意識は全くない」と反論した。

 小泉氏は出馬会見で「この30年間、日本から世界で勝負する企業が出ないのも、既存企業が既得権益を守るため新規参入を阻もうとしているからだ」として、聖域なき規制改革が不可欠だと主張。運営主体がタクシー事業者に限られている日本版ライドシェアを念頭に「その象徴がライドシェアだ」と批判し、「ライドシェアを完全解禁する」と表明した。

 これに対し、斉藤氏は小泉氏の公約を「今初めて聞いた」とし、「問題の本質は移動の足の不足にどう対応するかだ」と指摘。そのうえで「『全面解禁』が、運行管理や車両整備・管理などの責任を負う主体を置かないまま自家用車の運転者のみが運送責任を負う形態を意味しているのであれば、安全の確保、利用者の保護などの観点から問題がある」と述べ、全面解禁に改めて慎重な姿勢を示した。

 一方、既存企業が既得権益を守ろうとしているとする小泉氏の指摘に関しては「私たちはある特定の業界を守るとか、そういう姿勢で行政を行っているということは全くない」と重ねて強調。移動の足の確保とともに「国民の利便性向上、そこで働く人たちがしっかりとした労働条件のもとで安心して働くということも非常に大切なことだ」と述べた。

 日本版ライドシェアは今年4月、東京23区や京都市などで運行が始まった。小泉氏は超党派の国会議員によるライドシェア勉強会の会長を務めており、タクシー事業者以外の参入を認めるための法改正や新法の検討などを求める提言書を岸田文雄首相に提出していた。【原田啓之、佐久間一輝】

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