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野田佳彦氏は衆議院千葉4区選出の当選9回で、67歳。
松下政経塾出身で、千葉県議会議員を経て1993年の衆議院選挙に当時の日本新党から立候補して初当選しました。
2011年に民主党政権として3人目となる総理大臣に就任し、よくとしには、消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革の関連法を成立させましたが、直後の衆議院選挙で敗北し、政権を失いました。
その後、無所属などを経て、4年前の2020年に立憲民主党に参加しました。
おととし・2022年には、亡くなった安倍元総理大臣の追悼演説を行い、「再びこの議場で、あなたと魂と魂をぶつけ合う真剣勝負を戦いたかった。勝ちっ放しはないでしょう」と呼びかけ、与野党からは名演説だったと称賛が相次ぎました。
今回の代表選挙では、当初は「『昔の名前で出てます』ではいけない」などとして立候補に慎重な姿勢を示していましたが、ベテランの小沢一郎・衆議院議員からの期待に加え、中堅・若手議員などから要請が相次いだことを踏まえ、立候補を決断しました。
野田氏は、政界でも屈指の酒豪として知られるとともに、平日はほぼ毎日、選挙区内の駅前に立って声かけなどの活動を行っています。
野田氏が最も忘れられないとしているのは2期目を目指した1996年の衆議院選挙で105票の僅差で敗れたあと、一睡もしないまま駅前に立った朝で、今でもその悔しさを胸に刻んでいるということです。
座右の銘は松下政経塾を設立した故・松下幸之助氏のことばで成功まで志を貫くという意味の「素志貫徹」です。
枝野幸男氏 プロフィール
枝野幸男氏は衆議院埼玉5区選出の当選10回で、60歳。
弁護士で、1993年の衆議院選挙に、当時の日本新党から立候補して初当選しました。
かつての民主党政権では、官房長官や経済産業大臣、それに党の幹事長など要職を歴任しました。
2017年に、所属していた民進党が東京都の小池知事が立ち上げた希望の党への合流をめぐって分裂すると、立憲民主党を結党して代表に就任し、直後の衆議院選挙で野党第1党の議席を獲得しました。
立憲民主党はその後、当時の国民民主党と合流し、社民党の一部の議員も入党するなど、勢力を拡大しましたが、前回・3年前の衆議院選挙で議席を減らした責任をとって代表を辞任しました。
今回の代表選挙では、8月9日にいち早く立候補の意向を明らかにし、「逃げることなく時代の転換の先頭に立つのがわたしの使命だ」と述べました。
枝野氏は、高校まで合唱部に所属し、カラオケ好きは永田町でも有名です。
演説の際には、聞いている人に思いが伝わるよう、歌うように語りかけることを心がけているということです。
泉健太氏 プロフィール
泉健太氏は衆議院京都3区選出の当選8回で、50歳。
福山哲郎・参議院議員の秘書などを経て、2003年の衆議院選挙に当時の民主党から29歳で立候補して初当選し、民主党政権では内閣府政務官などを務めました。
4年前に行われた党の代表選挙では、現職の枝野代表に敗れたものの、その後、政務調査会長を務めました。
衆議院選挙で党が敗北したことを受けて行われた3年前の代表選挙では、4人による争いを制し、代表に就任しました。
泉氏は、当初、国政選挙で苦戦していましたが、自民党の政治とカネの問題で追及を強め、ことし4月の衆議院の3つの補欠選挙で全勝するなど、党勢の回復に取り組みました。
党の方針として中道路線を掲げ、政権交代に向けて教育無償化など特定の政策課題の実現を目指す「ミッション型内閣」を打ち出しほかの野党との連携を図っています。
趣味は日曜大工で、京都の自宅で、壁紙の張り替えや、玄関のドアの塗装をみずから行うこともあります。また、自宅で飼っているウサギと過ごすひとときが心の癒やしだということです。
吉田晴美氏 プロフィール
吉田晴美氏は衆議院東京8区選出の当選1回で、52歳。
旧民主党の流れをくむ政党の代表選挙に当選1回の議員が立候補するのは初めてです。
海外の航空会社の客室乗務員や経営コンサルタントを経て、民主党政権では、小川敏夫・元法務大臣の秘書官を務めました。
その後、旧民主党の候補者の公募に応じ、2013年の参議院選挙と2017年の衆議院選挙の2回、国政選挙に立候補しましたが議席を得られませんでした。
前回・2021年の衆議院選挙に東京8区から立候補して、自民党の石原伸晃・元幹事長らを破り初当選を果たしました。
両親が山形県で青果店を営み、幼い頃には手伝いで店先に立った経験があることも踏まえ、家計の負担軽減など生活者の目線に立った政治の実現を訴えています。
野党間連携のあり方が論点に
立憲民主党の代表選挙では、衆議院選挙を控える中、日本維新の会や国民民主党、それに共産党を含めた野党間の連携のあり方が論点となります。
また、自民党の派閥の政治資金をめぐる問題を受けた企業・団体献金の禁止などの政治改革の具体策に加え、消費税の取り扱いを含めた経済・財政政策や外交・安全保障政策の方向性も議論される見通しです。
代表選スケジュール
今回の立憲民主党の代表選挙は、党の規則上、最も長い17日間の選挙戦を経て、9月23日の臨時党大会で投開票が行われます。
期間中には、大都市を中心に街頭演説や討論会などの地方遊説が行われ、今回は、前回の3か所を大幅に上回る全国11か所で開催されます。
地方遊説は、7日に名古屋からスタートし、18日の東京まで続きます。
11日には候補者全員が能登半島地震の被災地を訪れ、視察する予定です。
前回同様、オンラインも活用し、10日には女性議員、12日には地方議員が参加してのオンライン討論会が開かれます。
このほか、テレビやインターネット番組、新聞社による討論会も行われ、同じ時期に行われる自民党総裁選挙に対抗し、党の理念や政策をアピールしたい考えです。
投票は、地方議員と党員・サポーターは、事前に郵便かインターネットで行われ、郵便は20日到着分、インターネットは22日の午後5時に締め切られます。
そして23日に、東京・港区のホテルで臨時の党大会が開かれ、候補者が最後の演説を行って支持を訴えたあと、地方議員と党員・サポーターによる投票の結果が報告されます。
その後、国会議員と国政選挙の公認候補予定者が投票し、その場で開票されて、新しい代表が選ばれます。
代表選の仕組み
今回の立憲民主党の代表選挙は、党所属の国会議員のほか、国政選挙の公認候補予定者、地方議員、党員・サポーターに割り当てられるあわせて740ポイントで争われ、過半数を獲得した候補者が代表に選出されます。
内訳は、▼衆参両院の副議長を含む136人の国会議員に1人2ポイントで272ポイント、▼98人いる国政選挙の公認候補予定者に1人1ポイントで98ポイントが割り当てられ、あわせて370ポイントとなります。
衆参両院の国会議員と公認候補予定者は、今月23日の臨時党大会で直接、投票します。
また、▼全国1236人の地方議員と、▼11万4792人の党員・サポーターには、それぞれ185ポイントが割り当てられます。地方議員と党員・サポーターは、郵便かインターネットで投票し、得票数に応じていわゆる「ドント方式」でポイントが配分されます。
締め切りは、郵便が20日到着分まで、インターネットが22日の午後5時までとなります。
過半数のポイントを獲得した候補者が代表に選出されますが、過半数を獲得する候補者がいなかった場合は、上位2人による決選投票が行われます。
決選投票は、▼国会議員に1人2ポイント、▼国政選挙の公認候補予定者に1人1ポイント、▼各都道府県連の代表者に1人1ポイントを割り当て、合計417ポイントで争われます。
民主党政権未経験議員が半数近く
立憲民主党には現在、136人の国会議員が所属しています。初当選した年ごとにみると、1998年の旧民主党結党までに初当選した議員は、枝野前代表や野田元総理大臣、岡田幹事長らベテランの17人です。
旧民主党結党から2009年の政権交代前までの初当選が38人です。
泉代表や長妻政務調査会長、西村智奈美・代表代行ら現在の執行部の中心メンバーが多く含まれます。
2009年の政権交代から2012年に政権を失う前までが19人。
2012年に政権を失って以降が62人となっています。民主党政権を経験していない議員は、党所属議員の半数近くを占めています。
立憲民主党の歩み
立憲民主党は、枝野前代表が2017年に結成した旧立憲民主党の流れをくんでいます。
枝野氏は、所属していた民進党が、東京都の小池知事が立ち上げた希望の党への合流をめぐり分裂すると党を立ち上げ、代表に就任します。
直後の衆議院選挙で、選挙前の3倍を超える55議席を獲得して躍進し、野党第1党になりました。
そして2020年に、泉代表が所属していた旧国民民主党や、野田元総理大臣ら無所属の議員と合流し、いまの立憲民主党が結成されました。
これにより、衆参両院で150人規模となり、全国すべての都道府県で地方組織をつくるなど党の体制を整えました。
前回・3年前の衆議院選挙では、野党連携を主導し、共産党などとの間で全体の7割を超える小選挙区で、野党候補の一本化を図り、政権交代を目指しました。
しかし、選挙前の109議席を下回る96議席の獲得にとどまり、枝野氏は責任をとって代表を辞任しました。
そして、枝野氏の後任を選ぶ代表選挙では泉氏が4人による争いを制し、代表に就任しました。
泉氏の代表就任後に行われたおととしの参議院選挙で立憲民主党は17議席の獲得にとどまり、改選前から6議席減らしました。
その後、立憲民主党は自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題が明らかになると、政府・自民党への追及を強め、ことし4月の衆議院の3つの補欠選挙で全勝しました。
今回の代表選挙は、泉氏の3年間の任期が満了したことに伴うもので、いまの立憲民主党が結党されて以降、3回目となります。
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